介護食の種類と分野!それぞれの特徴を徹底解説
介護食は高齢者や障がい者の健康的な食生活を支援するために開発された特殊な食事です。
ペースト状の「ミキサー食」から、やわらかいテクスチャの「キザミ食」、歯ぐきでつぶせる「ムース食」など、さまざまな種類があります。
それぞれ咀嚼や嚥下機能に合わせて設計されており、栄養豊富で安全性の高い食事を提供することが可能です。
高齢化社会を支える重要な食品分野として注目されています。
介護食は高齢者や障がい者の健康的な食生活を支援するために開発された特殊な食事です。
ペースト状の「ミキサー食」から、やわらかいテクスチャの「キザミ食」、歯ぐきでつぶせる「ムース食」など、さまざまな種類があります。
それぞれ咀嚼や嚥下機能に合わせて設計されており、栄養豊富で安全性の高い食事を提供することが可能です。
高齢化社会を支える重要な食品分野として注目されています。
食事に関する機能が低下しがちな高齢者のための介護食。実は介護食には様々な分類や種類があります。介護食は高齢者の身体の状態によって使い分けることが非常に重要。今回は介護食の種類や分類、特徴についてご紹介します。

- 目次
01介護食とは
01介護食の種類
1-1常食
介護食の中で最も一般的な形態が常食です。 常食は、高齢者でも普通に食べられるよう、柔らかめに調理した一般的な食事。 咀嚼や嚥下の能力が比較的良好な人向けに作られています。 食べやすさを考慮しつつ、栄養バランスにも配慮された食事です。 施設や在宅で介護を受ける際の基本となる食事形態であり、高齢者の生活の質を支える重要な役割を果たしています。 以下で詳しく解説していきます。
軟菜食
常食は、咀嚼や嚥下機能が比較的良好な高齢者向けの食事形態です。 一般的な調理方法で作られますが、やわらかめに調理されているのが特徴です。 食べやすさを考慮しつつ、栄養価も確保されています。 一方の軟菜食は、さらに咀嚼や嚥下が困難な高齢者向けです。 煮る、蒸す、あるいはミキサーにかけるなど、調理方法に工夫が凝らされており、食材もやわらかく繊維質の少ないものが使われています。 ペースト状や泥状のテクスチャになっているため、飲み込みやすくなっています。 両者は高齢者の状態に合わせて使い分けられます。常食では食べづらい人には軟菜食が適しており、嚥下機能の低下に応じて段階的に移行していくことが重要です。 高齢者一人ひとりのニーズに合った食事を提供することで、健康的な食生活の維持につなげることができるでしょう。
刻み食
一般の食べ物を細かく刻んだり、ミキサーにかけてペースト状にしたりと、調理方法に工夫が凝らされています。 食材は柔らかく繊維質の少ないものが使われ、流動性の高い質感になっているのが特徴です。 これにより、飲み込みやすく、無理なく摂取することができます。 刻み食は、常食では食べづらい高齢者に適しています。 咀嚼力や嚥下力が低下してきた際に、段階的に常食から刻み食へ移行していくことが重要です。 ミキサー食やムース食といった、さらにやわらかい食事形態への変更も選択肢となります。
極濾食
極濾食は、深刻な嚥下障害のある高齢者向けに開発された食事形態です。 通常の食事では飲み込むことが困難な人でも、簡単に摂取できるよう工夫されています。 食材をミキサーなどで細かく砕いて濾し、ペースト状やゼリー状のテクスチャにしています。 こうした極端な加工により、飲み込みやすさが大幅に高まるでしょう。 一方で、栄養成分の損失を最小限に抑える工夫も行われ、必要な栄養素を濃縮して提供することで、健康的な食生活の維持につなげることができます。 極濾食は、嚥下機能が著しく低下した高齢者に適しています。 常食や刻み食では対応が難しい場合に選択される食事形態です。
1-1嚥下調整食
嚥下調整食は、咀嚼や飲み込みが困難な高齢者向けに開発された介護食の一種です。 食品の固さや粘度、形状を調整することで、誤嚥のリスクを最小限に抑えつつ、効果的に栄養を摂取できるようにした食事形態です。 常食、刻み食、ムース食などの各段階に分かれており、高齢者の状態に合わせて柔軟に選択できるのが特徴です。 医療・介護スタッフの助言を得ながら、個人に最適な嚥下調整食を提供することで、健康的な食生活の維持につなげることができるでしょう。 以下で詳しく解説していきます。
レベル1: ゼリー食
ゼリー食は、水分とゲル化剤を使ってペースト状に調理されたものです。 流動性が高く、食べやすい質感になっています。 また、ゼリー状のテクスチャにより、飲み込みやすさも高まります。 ゼリー食には、メインの主食やおかず、そして果物や飲み物など、さまざまな種類があり、介護施設などでは、高齢者の状態に合わせて適切なゼリー食が提供されます。 例えば、肉や魚を細かくミキサーにかけてペースト状にし、ゲル化剤を添加したものがメインのゼリー食です。 野菜ゼリーや果物ゼリーなどのデザート系のものも選択肢の一つです。 ゼリー食は、嚥下障害のある人でも安全に、そして無理なく食べられるのが特徴です。 咀嚼力の低下した高齢者にとっても、食べやすく、必要な栄養を確保できる食事形態といえるでしょう。
レベル2: ミキサー食
ミキサー食は、固形物をほとんど含まない滑らかなテクスチャが特徴です。 食べやすさに加えて、飲み込みやすさも高まり、これにより、嚥下機能が低下した高齢者でも、安全に摂取できるようになります。 また、ミキサー加工によって食材の形状が大きく変化するため、食べ応えは少なめですが、必要な栄養素は濃縮されています。 たんぱく質や食物繊維、ビタミンなどの重要な栄養素を効率的に摂取できるのが利点です。 医療・介護の現場では、ミキサー食は重度の嚥下障害がある高齢者に提供される場合が多いです。 医師や管理栄養士の助言を得ながら、個人の状態に合わせた適切なメニューを選択することが大切です。
レベル3: おかゆ
おかゆは、ご飯を水で煮込んで溶かし、とろみのある粥状に仕上げたものです。 ご飯の粒が細かく、食べやすいテクスチャになっています。 咀嚼力や嚥下機能が低下した高齢者でも、安全に摂取できるよう設計された食事です。 メインのおかゆの他にも、具だくさんのおかゆや、魚介類や野菜を加えたものなど、様々なバリエーションがあり、これにより、高齢者の好みや食事量、健康状態に合わせて、柔軟にメニューを選択できるのが特徴です。 介護施設では、医療・介護スタッフの助言を受けながら、個々の高齢者に最適なおかゆを提供しています。 流動食として栄養補給ができ、かつ食べやすいため、高齢者の健康的な食生活の維持に重要な役割を果たしています。
レベル4: ムース食
ムース食は、肉や魚、野菜などの食材をミキサーにかけて滑らかなペースト状に加工し、さらに空気を含ませてふわっとした食感に仕上げたものです。 これにより、重度の嚥下障害がある高齢者でも、安全に摂取できるよう設計されています。 流動性が高く、口の中で溶けやすいため、飲み込みやすさが高まります。 また、食材の栄養成分も濃縮されており、必要な栄養を効率的に摂取できる点も魅力的です。 ムース食には、主食のムースから、肉や魚、野菜、デザートなど、幅広いバリエーションがあります。 高齢者の嗜好性や健康状態に合わせて、きめ細かく提供されます。
レベル5: 常食
常食は、一般的な家庭料理をベースに、高齢者の咀嚼や嚥下機能に合わせて調整したものです。 具体的には、肉や魚を柔らかく煮込んだり、野菜をやわらかく煮たりするなど、噛み応えを和らげています。 また、細かく刻んだり、ソースをかけるなどの工夫で、飲み込みやすさも高めているでしょう。 メニューは、主食(ご飯やパン)、おかず(たんぱく質や野菜)、汁物などで構成され、バランスの取れた食事内容となっています。 高齢者の低下した食欲にも配慮し、少量でも十分な栄養が取れる工夫がされています。 日常の食事を楽しみつつ、必要な栄養を取れるよう設計された介護食が、常食の特徴です。
1-1食品の硬さや粘度に着目した4つの区分
高齢者の嚥下状態に合わせて、食品の硬さや粘度を調整することで、安全かつ効率的な栄養摂取が可能となるでしょう。 介護食は、個人差の大きい高齢者の食生活を支える重要な選択肢となっています。 以下で詳しく解説していきます。 軟菜区分 介護食の軟菜区分は、咀嚼および嚥下機能が低下した高齢者向けの食事形態です。 ミキサー食やムース食と比べ、少し硬さのある食材を使用しているのが特徴。 まず、調理の際には煮込み時間を長く取り、野菜や肉を非常に柔らかく仕上げます。 食材はすりつぶすのではなく、角切りや細かく刻むなどして、適度な口当たりを残しています。 ソースやつゆを多めにかけることで、飲み込みやすくなっています。 また、固形物と流動物を組み合わせることで、食べ応えと滑らかさのバランスを取っているでしょう。 例えば、ご飯にあんかけをかけたり、刻んだ肉に煮汁をからめるなどの工夫がなされます。 このように、軟菜区分は「固形物も食べられる」という点で、ミキサー食やムース食よりも食感が良く、高齢者の満足感も得られやすいのが特徴です。 刻み区分 介護食の刻み区分は、咀嚼能力が低下した高齢者向けの食事形態です。 軟菜区分よりも、さらに食材を細かく刻むことで、飲み込みやすさを高めています。 まず、食材は1〜2センチ角程度にきめ細かく刻むことが特徴です。 野菜は煮崩れしやすい品種を選び、肉は筋繊維の方向に沿って細かく切るなどの工夫がなされています。 これにより、口の中で潰れやすく、無理なく飲み込めるようになります。 また、ソースやつゆを多めにかけることで、口の中で溶け合うような食感を実現しています。 さらに、食べやすさを高めるため、ご飯やパンなどの主食と煮物やあんかけなどの副菜をセットにするのが一般的です。 このように、刻み区分は咀嚼力の低下した高齢者でも安全に食べられるよう、食材の大きさや調理方法を工夫した食事形態です。 ただし、あまりに細かく刻みすぎると、食べ応えが失われるため、適度な硬さや歯ごたえを残すことにも配慮しています ミキサー区分 介護食のミキサー区分は、高齢者の嚥下機能が著しく低下した場合に提供される食事形態です。 飲み込みやすいペースト状の質感が特徴で、咀嚼を必要とせずに済むため、誤嚥のリスクが低減されます。 まず、食材をミキサーなどで完全に滑らかなペースト状に粉砕・混ぜ合わせます。 そのため、固形物はなく、水分を多く含んだ柔らかい食感になり、嚥下反射が低下した高齢者でも、確実に飲み込むことができるでしょう。 また、ミキサー食は口の中で溶けやすいため、唾液の分泌量が少ない高齢者でも、円滑に流し込むことができます。 食事の際は、スプーンではなく、しっかりとした細い口径のストローを使用することが多いのも特徴です。 一方で、ミキサー食は見た目が単調で、食べ応えに乏しいという課題もあります。 そのため、色合いや味付けなどに配慮し、高齢者の嗜好に合わせた工夫が行われています。 このように、ミキサー区分は、嚥下機能が極端に低下した高齢者向けの、最も流動性の高い介護食形態です。 安全性を最優先しつつ、食事の楽しみも提供することが求められます。 ゼリー区分 介護食のゼリー区分は、嚥下機能が著しく低下した高齢者向けの食事形態です。 ミキサー食よりもさらに流動性が高く、誤嚥のリスクが小さくなっているのが特徴です。 まず、食材をゼラチンやとろみ剤などを用いてゼリー状に仕上げ、これにより、食べる際の咀嚼や嚥下の負担が最小限に抑えられます。 ゼリーにすることで、口の中で溶けやすく、コクのある滑らかな食感を実現しています。 また、ゼリー状の形状のため、スプーンを使わずに直接飲み込むことができるでしょう。 テクスチャーがなめらかで、唾液の分泌量が少ない高齢者でも、安全に食べられるのが大きな特徴です。 一方で、ゼリー食はミキサー食よりも食べ応えが乏しく、満足感が得られにくい面もあります。 そのため、色合いや味付けにも配慮し、高齢者の嗜好に合わせた工夫が行われています。 このように、ゼリー区分は誤嚥リスクが最も低い介護食形態です。 ただし、食べ応えに乏しいため、適切な栄養量の確保や食事の楽しさの提供にも注意を払う必要があるでしょう。
01介護食の分野
1-1嚥下障害
介護食の分野において、嚥下障害は重要な課題の1つです。 嚥下とは、食べ物や唾液を口から胃に送り込む一連の動作のことで、高齢者では様々な要因によってこの機能が低下することがあります。 嚥下障害のある高齢者に適した介護食は、誤嚥(食事が気管に入ること)のリスクを低減させることが最も重要な目的となります。 具体的には、食材の硬さや大きさ、粘度などを調整することで、飲み込みやすさを高めるのが特徴です。 例えば、刻み食やミキサー食、ゼリー食などは、咀嚼や嚥下の負担を最小限に抑えるよう設計されています。 食材をきめ細かく刻んだり、ペースト状に加工したりすることで、高齢者でも安全に摂取できるよう工夫されています。 また、トロミ剤の使用や、ごはんとおかずを混ぜ合わせるなど、食事形態の工夫も行われます。 これらの取り組みにより、嚥下機能が低下した高齢者の栄養状態の維持と、誤嚥による呼吸器疾患のリスク低減が期待されているでしょう。
1-1低栄養
高齢者の場合、加齢に伴う身体機能の低下や病気、食欲低下などの要因から、低栄養に陥りやすい傾向にあります。 低栄養の高齢者に適した介護食は、必要な栄養素を効率的に摂取できるよう設計されています。 具体的には、エネルギー密度や蛋白質、ビタミン・ミネラルの含有量を高めることが特徴です。 例えば、肉や魚、卵などのタンパク質を多く含む介護食メニューや、カロリーの高い介護食補助飲料の活用などが行われています。 また、食欲不振の高齢者でも少量でも摂取しやすいよう、食べやすい形態(ミキサー食やゼリー食など)での提供も重要です。 さらに、低栄養の改善には、必要な栄養素の提供だけでなく、高齢者の食べる意欲を引き出すことも不可欠です。 食事の際の雰囲気作りや、好みの食事形態・味付けの提供などの工夫も行われています。
1-1摂食・嚥下機能低下
加齢に伴い、高齢者の口腔機能や咽頭筋の衰えから、食べ物を口から胃に送り込む一連の動作が困難になることがあります。 このような高齢者に適した介護食は、誤嚥(食事が気管に入ること)のリスクを最小限に抑えることが最も重要な目的となります。 具体的には、食材の硬さや大きさ、粘度などを調整することで、飲み込みやすさを高めるのが特徴です。 例えば、刻み食やミキサー食、ゼリー食などは、咀嚼や嚥下の負担を最小限に抑えるよう設計されています。 また、トロミ剤の使用や、ごはんとおかずを混ぜ合わせるなど、食事形態の工夫も行われます。 これらの取り組みにより、摂食・嚥下機能が低下した高齢者の安全な食事摂取と、誤嚥による呼吸器疾患のリスク低減が期待されています。 さらに、誤嚥を防ぐためには、個々の高齢者の状態に合わせた食事形態の選択や、姿勢の工夫など、細やかなケアも重要となるでしょう。
01介護食の特徴と選定
1-1食事形態
高齢者の中には、加齢や疾病に伴い、咀嚼や嚥下機能が低下している方が多くいます。 このような方々に適した介護食は、食材の硬さや大きさ、粘度などを調整し、飲み込みやすさを高めるよう設計されています。 具体的には、ミキサー食やゼリー食、トロミ食などが代表例です。 これらの介護食は、誤嚥のリスクを最小限に抑えつつ、高齢者でも安全に食事を摂取できるよう工夫されています。 一方で、経口摂取が困難な高齢者には、流動食や経管栄養剤なども利用されます。 これらは、必要な栄養素を効率的に補給する手段として活用されているでしょう。 さらに、嗜好性を高めるため、刻み食ややわらか食など、食材の硬さや大きさに配慮しつつ、高齢者の食べやすさにも配慮した介護食メニューも提供されています。
1-1栄養量
高齢者は、加齢に伴う身体機能の低下や、疾病、食欲低下などの理由から、必要な栄養量を十分に摂取できない場合があるでしょう。 また、低栄養状態に陥ると、褥瘡(じょくそう)の発生やサルコペニア(筋肉量の減少)などのリスクが高まります。 そのため、介護食では、高齢者の適切な栄養状態の維持を目的として、エネルギー、たんぱく質、ビタミン、ミネラルなどの栄養素バランスに配慮した設計がなされています。 例えば、ミキサー食やゼリー食、流動食などでは、必要な栄養素を濃縮した製品が提供されます。 また、経管栄養剤では、高エネルギー・高たんぱく質タイプなど、高齢者の状態に合わせた製品が用意されているでしょう。 加えて、低栄養リスクの高い高齢者に対しては、栄養補助食品の活用も検討されます。 これらは、食事だけでは不足しがちな栄養素を補う役割を担っています。
1-1嗜好性
高齢者の食生活において、単に栄養面での要求を満たすだけではなく、おいしく食べられる食事を提供することが重要です。 しかし、加齢に伴う味覚・嗅覚の変化や、疾病による食欲低下などから、高齢者の嗜好性は若年層とは異なる傾向にあるでしょう。 そのため、介護食では、高齢者の好みに合わせた食材の選定や、調理方法の工夫が行われています。 具体的には、やわらかな食感や淡白な味付けが好まれる傾向にあるため、刻み食やミキサー食などが提供されます。 また、個人の嗜好に応じて、塩分控えめや香味野菜の使用など、味付けの調整も行われます。 さらに、見た目の印象にも配慮し、食材の形状や色合いなどを工夫することで、高齢者の食欲を促進することも目指されています。
1-1調理性
高齢者の中には、咀嚼や嚥下の困難さ、手指の機能低下などから、通常の食事を自力で摂取することが難しい方がいます。 そのような場合、刻み食やペースト食、ミキサー食などの消化性の高い食事形態が提供されます。 また、調理過程においても、高齢者の身体特性に合わせた工夫が必要となるでしょう。 例えば、食材の軟化や細かな切り分けなど、咀嚼や嚥下に配慮した調理が行われます。 さらに、ゼリー状の食事形態では、水分量の調整や型崩れしにくい素材の選定など、食べやすさの向上にも注力されています。 一方で、経管栄養を必要とする高齢者に対しては、流動食やゼリー状の製品が提供されます。 これらは、ポンプなどを介して直接胃や腸に栄養を補給する方式となるため、飲み込みやすさや栄養素の吸収性が重視されているでしょう。
1-1安全性
高齢者の中には、疾病やそれに伴う治療、加齢に伴う身体機能の低下など、さまざまな要因により、通常の食事を安全に摂取することが困難な方がいます。 そのため、介護食の提供に当たっては、高齢者の健康状態に合わせた配慮が必要となるでしょう。 具体的には、アレルギー対応や、誤嚥(ごえん)リスクの低減などが挙げられます。 アレルギー物質の混入を防ぐため、原材料の表示や、アレルギー表示の確認が行われます。 また、ミキサー食やゼリー状の食事形態では、誤嚥の危険性が低減されるため、高齢者の嚥下機能に応じた適切な提供が求められるでしょう。 さらに、高齢者の健康維持に欠かせない、適切な栄養バランスの確保も重要です。 介護食では、エネルギーや、たんぱく質、ビタミン、ミネラルなどの含有量が管理されており、必要な栄養素を適量取れるよう設計されています。
1-1経済性
介護食は、高齢者の方々が健康的な食生活を送るために必要不可欠なものですが、一般的な食事と比べると、製造コストが高くなる傾向にあります。 例えば、ミキサー食やゼリー状の食事形態では、食材の細かな切り分けや柔らかな調理が必要となるため、調理工程が複雑化し、コストが増大します。 また、アレルギー対応や、高齢者の嗜好に合わせた味付けの調整など、個別の配慮も費用を押し上げる要因となるでしょう。 一方で、介護食の提供を受ける高齢者の方々の中には、経済的な負担が大きい方も少なくありません。 そのため、介護施設や自治体などでは、利用者の経済状況に配慮しつつ、できる限り低コストで、質の高い介護食を提供することが求められています。 具体的には、食材の共同購入による価格交渉の実施や、季節性や産地を考慮した食材の選定、調理工程の効率化など、様々な取り組みが行われています。 また、介護保険制度の活用により、利用者の自己負担を軽減する取り組みも進められています。
01介護食品の選び方とは?
1-1利用者の状態に合わせた選択
利用者の嚥下機能に合わせた食品形態を選びます。 例えば、ミキサー食品やきざみ食品は、咀嚼や嚥下が困難な方に適しています。 一方で、ゼリー状の食品は、液体を飲み込むのが苦手な方に向いています。 次に、利用者の栄養状態に合わせて、適切なカロリーや栄養素が含まれている食品を選び、低栄養傾向の方には高カロリーの食品が、糖尿病の方には糖質控えめの食品が適しているでしょう。 さらに、食べやすさも重要です。 硬すぎたり、かたすぎたりする食品は、摂取しづらい可能性があります。 見た目にも工夫が凝らされた、彩りの良い食品を選ぶと、食欲増進にもつながります。 そのほか、利用者の嗜好に合わせて、おいしい味付けの食品を選ぶことも大切です。 ご本人の好みを確認し、食べやすい形態と味わいのバランスを取ることが重要です。 以上のように、介護食品の選択にあたっては、利用者の状態や特性を総合的に勘案し、最適な食品を見極めることが求められるでしょう。
1-1栄養バランスの確保
高齢者の方は、加齢に伴い食欲の低下や咀嚼・嚥下機能の低下などが見られることが多く、適切な栄養摂取が難しくなる場合があります。 そのため、介護食品を選ぶ際は、必要な栄養素を効率的に取れるよう配慮する必要があるでしょう。 具体的には、たんぱく質、脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラルなど、バランスの取れた栄養組成の食品を選びます。 たんぱく質は筋肉の維持に、ビタミンやミネラルは免疫機能の維持に重要です。 また、嚥下機能の低下した方には、ゼリー状やミキサー食など、流動食タイプの食品を選ぶのが適切です。 こうした食品は、必要な栄養素を効率よく摂取できるだけでなく、食べやすさも高まります。 さらに、食欲不振の方には、少量でもしっかりとした栄養が取れる高カロリー・高栄養の介護食品を選ぶことで、効果的な栄養補給が可能です。 このように、介護食品の選択では、利用者の状態に合わせて、必要な栄養素を効果的に摂取できる食品を選ぶことが重要です。
1-1嚥下機能に配慮した選択
加齢に伴い、多くの高齢者の方は嚥下機能の低下を経験します。 これにより、固形物の摂取が困難になったり、誤嚥リスクが高まったりする可能性があります。 そのため、嚥下の状態に合わせて適切な介護食品を選択する必要があるでしょう。 まず、咀嚼や嚥下が困難な方には、ミキサー食品やゼリー状の流動食が適しています。 このようなソフト食品であれば、飲み込みやすく、誤嚥のリスクも低減できます。 一方、固形物でも問題なく食べられる方には、きざみ食品やムース状の介護食品を選ぶことができ、これらは、咀嚼力の低下にも配慮された食品形態です。 さらに、見た目や香り、味付けにも配慮することで、利用者の食欲や摂食意欲を高めることができます。 彩り豊かな食事は、食べる楽しみにもつながります。 このように、介護食品の選択にあたっては、利用者の嚥下機能の状態を十分に把握し、安全性と食べやすさを兼ね備えた適切な製品を選ぶことが重要です。
1-1食べやすさと美味しさの両立
食べやすさの観点から見ると、ソフト食品やミキサー食品が適しています。 加齢に伴い低下する咀嚼・嚥下機能に配慮しており、安全な摂取が可能。 ゼリー状やムース状の食品は、流動食であり、飲み込みやすいのも特徴です。 一方で、高齢者の方の中には、美味しさにこだわる人も多くいます。 例えば、彩りや香り、舌触りなどに工夫が施された製品は、食べる楽しみにもつながります。 また、個人の好みに合わせた味付けも大切です。 そのため、介護食品を選ぶ際は、利用者の状態に合わせて食べやすさを確保しつつ、美味しさにも配慮することが重要です。 適度な固さや食感、豊かな風味など、さまざまな工夫が凝らされた製品を選択することで、高齢者の方の食生活の質を高めることができるでしょう。 さらに、利用者一人ひとりの好みや嗜好を把握し、それに合わせた介護食品を選ぶことも大切です。
1-1個人の好嗜好への対応
高齢者の方には、個性や人格が豊かな方が多く、それぞれ好みの食事スタイルがあります。 例えば、和食が好きな方、甘い物が好きな方、あるいは食事時間にこだわりのある方など、一人ひとり異なる嗜好を持っています。 そのため、介護食品を選ぶ際は、利用者の嗜好を丁寧に把握し、それに合わせた製品を選択することが求められます。 和風の味付けや、好みの食感、見た目の工夫など、個人の嗜好に寄り添った介護食品を提供することで、食事の楽しみを高めることができます。 また、食事時間や食べる順番など、個人の食習慣にも配慮することも大切です。 時間にこだわりのある方には、きちんと決まった時間に食事を提供することが重要です。
01介護食の分類・区分
高齢者の身体の状態は人によって異なるもの。そのために必要なのが介護食の分類と分類。どの程度の機能低下があるかによって介護食は大きく四つの種類に分けることができます。これらの分類には食品の固さや粘度などが大きく影響します。
1-1分類1:容易に噛めるもの
分類1は普通のご飯ならごく簡単に噛めるもの。固いものや大きすぎるものはやや食べづらいと感じることもありますが、飲み込む機能にも問題はありません。たとえば普通の固さに炊いたご飯や焼き豆腐、焼き魚といったものがこの分類に当たります。
1-2分類2:歯茎でつぶせる
分類2は「歯茎でつぶせる」という食べ物です。高齢になると、歯周病や加齢による歯茎の衰えによって歯を失くしてしまうことがありますが、実際には歯茎だけでもかなりの食品を潰して食べることができます。
ただし、固いものや大きいものは歯茎で潰すのが難しく、結果として飲み込みにくくなることがあります。
たとえば木綿豆腐や煮魚、柔らかいご飯や、普通に炊いたおかゆなどがこの分類に当たります。
1-3分類3:舌でつぶせるもの
高齢者は身体全体の筋肉が衰える傾向にありますが、特に口を開けたり閉じたりする筋肉もその影響を受けやすく、口を開けて噛むこと自体が難しくなることもあります。
その場合、舌を使って食品を潰すことが必要になります。
細かくて柔らかい食品であれば食べることに問題はありませんが、飲み込む機能の低下から水やお茶などが飲み込みにくくなることもあります。
絹ごし豆腐や柔らかく炊いたおかゆがこの分類に当たります。
1-4分類4:噛まなくてよいもの
身体の機能が低下していくと、最終的には噛む必要のない食品を選ぶ必要があります。この状態では、固形物は小さいものでも食べづらく、水やお茶なども飲み込みにくくなります。
この分類には、ペースト状にしたおかゆや、白身魚を裏ごししたものが選ばれます。
1-5嚥下調整食学会が提案する病院や施設での食形態の分類
高齢者は咀嚼だけでなく食べ物を飲み込む嚥下にも注意する必要があります。
嚥下などに関する専門学会である日本摂食嚥下リハビリテーション学会では、病院や施設などでの食形態の分類である「嚥下調整食学会分類」を発表しています。
の分類では「コード」によって食事のイメージが区別されています。
1-6コード0、1
コード0とコード1に当たるのが、摂食嚥下機能に重大な障害がある人です。
コード0はさらに二つの種類に分けることができます。コード0jは水分を含んだゼリーで、均質で固さが柔らかいもの。スプーンなどで救ったときにまとまった状態となるもの。コード0tはコード0jはとろみのあるものです。これらは嚥下が困難な人のリハビリにも用いられます。
コード1はゼリーやプリン、ムース状の食品で、咀嚼の必要がないものです。
1-7コード2-1
コード2-1に当たるのが飲み込むだけでなく、自分で食べ物を喉に送ることができる人です。通常はミキサー食やピューレ食、ペースト食などと呼ばれます。その中でも、全体が滑らかで均質なものが選ばれます。
1-8コード2-2
コード2-2もコード2-1と同じく、飲み込むだけでなく、自分で食べ物を喉に送ることができる人です。ただし、食べ物を飲み込むためには口の中できちんとまとめられるかどうかが必要。もし口の中で食べ物をまとめられないと、誤嚥につながることがあります。そのため、コード2-1の場合には食品は全体が均等な食べ物、コード2-2では粒状のものが残った不均等な物となります。
1-9コード3
コード3は歯などを使って口の中で食品を潰すことが可能な人です。形のある食品を舌で上あごに押し付けることができるため、口の中で固まりを作りやすく、ばらばらになりにくいものが選ばれます。このコード3はソフト食などと呼ばれることもあります。
1-10コード4
コード4は上下の歯茎や舌などで食品をすりつぶすことができる人です。食べ物を食べるときには歯で噛むというイメージがありますが、実際に食べ物を飲み込むときには歯茎や舌を使って食品を細かくすりつぶすことが必要です。
コード4の食品は柔らかいご飯や全粥などが選ばれます。
02介護食の種類
専門的な分類以外にも、介護食には高齢者の身体の状態によっていくつかの種類が用いられます。
2-1きざみ食
「きざみ食」は、噛みやすいように食品を細かく刻んだものです。あごの筋力が低下して口を開けたり咀嚼したりといった行動が難しい人に用いられます。また、入れ歯が合わないというときにも便利ですが、唾液が少ない場合には飲み込むときにまとめるのが難しくなり、むせやすいという欠点もあります。また、あまり食材を細かく刻みすぎると、食品のかけらが入れ歯の間に入りやすくなるため注意が必要です。
2-2ソフト食・やわらか食(軟菜食)
ソフト食ややわらか食は、食材を良く煮込んだり、火を通す時間を長くすることで柔らかくした食事です。歯を使わなくても、舌だけで潰せる固さにすることもあります。これらの食事は、歯やあごの衰えで噛む力を衰えた人だけでなく、口の中で食事をまとめられない人にも用いられます。
高齢者の場合には、あごやのどだけでなく、胃腸の機能も低下することで消化不良を起こすことも考えられますが、すでにある程度食事が柔らかくなっているため、胃腸が弱い人にも適しています。
2-3ミキサー食
ミキサー食は食事をミキサーにかけ、飲み込みやすい液体状にした食事です。あまり食事を噛むことができない人や、嚥下が難しくなった人に用いられます。また、とろみをつけることで誤嚥を防止するときにも役立ちます。
ミキサーにかければかけるほど滑らかな状態になりますが、その場合にはどのようなメニューなのかが分かりにくくなってしまうため、盛り付けなどで工夫する必要があります。
2-4とろみ食・ゼリー食・ペースト食(嚥下食)
とろみ食やゼリー食、ペースト食は基本的にはミキサー食と変わりありませんが、ポイントは単に食事をミキサーにかけるのではなく、水分を減らしてからミキサーにかけるということ。
水分を減らしてミキサーにかけることでさらに食事を飲み込みやすい状態にします。食事を噛む力や飲み込む力がなく、誤嚥が心配だという人に向いています。
2-5流動食
流動食とは、スープなど液体状にした食事や、おかゆの上澄みである重湯などの食事です。胃腸の手術をした後や高熱が出たときなど、消化する力が衰えたときに使われます。
消化することを重視した食事ですが、カロリーや栄養素が不足しがちなので注意する必要があります。
03介護食品の選び方
介護食は自分で作ることもできますが、実際には技術が必要なもの。さらに固さや飲み込みやすさの判断も難しく、専門知識がないと難しい部分もあります。
そんなときに便利なのが、レトルト介護食や宅配の介護食サービス。これらの食事はプロの手によるもので、味や栄養素はもちろん、介護の専門家でも難しいと言われる介護食選びのわかりにくさを解消する基準が確立されています。
3-1スマイルケア食とは?
介護食選びは非常に難しいもので、特にメーカーによっても基準がまちまち。それぞれ使用する分類や表示が異なることもあり、選ぶときにも難しい点があります。
それを解消するのが「スマイルケア食」と呼ばれるもの。
スマイルケア食は農林水産省で始まった新しい取り組みで、メーカー間の分類・表示の違いによるわかりにくさを解消するだけでなく、食べる悩みに応じたフローチャートを利用することで介護食を選びやすくしています。
たとえば「飲み込みに問題がある」「噛むことに問題がある」といった質問に答えるだけで、飲み込む力が弱い、やや弱い、とても弱いなど高齢者の状態に合った食品を選択することが可能です。
3-2ユニバーサルデザインフードとは
「スマイルケア食」と同じように、高齢者の食事に便利なのが「ユニバーサルデザインフード」です。「ユニバーサルデザインフード」は「咀嚼しやすさ」や「飲み込みやすさ」に配慮している食品のことで、介護食だけでなく日常の食事にも使用することができます。
種類は非常に幅広く、レトルト食品や冷凍食品だけではなく、食事にとろみをつけることで飲みこみをサポートし誤嚥を防止するとろみ調整食品なども含まれています。
「ユニバーサルデザインフード」には専用のマークが記載されていることがポイント。
このマークは日本介護食品協議会が制定した企画に適合した商品だけに使うことが許されているため、安心して商品を選ぶことができます。
さらに「ユニバーサルデザインフード」の場合、硬さや粘度などの規格があり、それによって四つの区分に分類されているため、高齢者の状態に合った食品を選ぶことが可能。
たとえば、かむ力の目安としては「かたいものや大きいものはやや食べづらい」「固いものや大きいものは食べづらい」「細かくて柔らかければ食べられる」「固形物は小さくても食べづらい」といった四つの項目があり、それによって必要な商品を選べるのもうれしいポイント。
また、誤嚥を防ぐとろみ調整食品に関しても、とろみの強さを四段階に分類。「マヨネーズ」「ケチャップ」「とんかつソース」「フレンチドレッシング」など、とろみの状態をイメージしやすい工夫も行われています。
01まとめ
介護食は様々な形態があり、高齢者の健康的な食生活を支援するために設計されています。
ミキサー食やムース食、キザミ食など、咀嚼や嚥下機能に合わせてテクスチャや形状が異なります。
繊維質が少なく滑らかなので飲み込みやすく、栄養価も高い特徴があります。
施設や在宅で介護を受ける高齢者の個々の状態に合わせて、適切な介護食を提供することが重要です。
咀嚼や嚥下が困難な人には、やわらかく飲み込みやすいムース食が適しています。
一方、自立度の高い人には、キザミ食やミキサー食よりも通常に近い固さのものが適しています。
高齢者一人ひとりのニーズに合わせた食事を提供することで、健康的な食生活を実現できるでしょう。
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280講座以上の資格取得できる通信講座を運営する諒設計アーキテクトラーニング編集部が運営するコラムです。心理カウンセラー、ドッグトレーナー、リンパケアセラピストなど、実践的で需要の高い資格を提供しており、学習者は自分のペースで学べる柔軟なカリキュラムを受けることができます。専門知識を短期間で習得できるよう設計されており、仕事や趣味に役立つスキルを身につけることが可能です。
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1-1分類1:容易に噛めるもの
分類1は普通のご飯ならごく簡単に噛めるもの。固いものや大きすぎるものはやや食べづらいと感じることもありますが、飲み込む機能にも問題はありません。たとえば普通の固さに炊いたご飯や焼き豆腐、焼き魚といったものがこの分類に当たります。
1-2分類2:歯茎でつぶせる
分類2は「歯茎でつぶせる」という食べ物です。高齢になると、歯周病や加齢による歯茎の衰えによって歯を失くしてしまうことがありますが、実際には歯茎だけでもかなりの食品を潰して食べることができます。
ただし、固いものや大きいものは歯茎で潰すのが難しく、結果として飲み込みにくくなることがあります。
たとえば木綿豆腐や煮魚、柔らかいご飯や、普通に炊いたおかゆなどがこの分類に当たります。
1-3分類3:舌でつぶせるもの
高齢者は身体全体の筋肉が衰える傾向にありますが、特に口を開けたり閉じたりする筋肉もその影響を受けやすく、口を開けて噛むこと自体が難しくなることもあります。
その場合、舌を使って食品を潰すことが必要になります。
細かくて柔らかい食品であれば食べることに問題はありませんが、飲み込む機能の低下から水やお茶などが飲み込みにくくなることもあります。
絹ごし豆腐や柔らかく炊いたおかゆがこの分類に当たります。
1-4分類4:噛まなくてよいもの
身体の機能が低下していくと、最終的には噛む必要のない食品を選ぶ必要があります。この状態では、固形物は小さいものでも食べづらく、水やお茶なども飲み込みにくくなります。
この分類には、ペースト状にしたおかゆや、白身魚を裏ごししたものが選ばれます。
1-5嚥下調整食学会が提案する病院や施設での食形態の分類
高齢者は咀嚼だけでなく食べ物を飲み込む嚥下にも注意する必要があります。
嚥下などに関する専門学会である日本摂食嚥下リハビリテーション学会では、病院や施設などでの食形態の分類である「嚥下調整食学会分類」を発表しています。
の分類では「コード」によって食事のイメージが区別されています。
1-6コード0、1
コード0とコード1に当たるのが、摂食嚥下機能に重大な障害がある人です。
コード0はさらに二つの種類に分けることができます。コード0jは水分を含んだゼリーで、均質で固さが柔らかいもの。スプーンなどで救ったときにまとまった状態となるもの。コード0tはコード0jはとろみのあるものです。これらは嚥下が困難な人のリハビリにも用いられます。
コード1はゼリーやプリン、ムース状の食品で、咀嚼の必要がないものです。
1-7コード2-1
コード2-1に当たるのが飲み込むだけでなく、自分で食べ物を喉に送ることができる人です。通常はミキサー食やピューレ食、ペースト食などと呼ばれます。その中でも、全体が滑らかで均質なものが選ばれます。
1-8コード2-2
コード2-2もコード2-1と同じく、飲み込むだけでなく、自分で食べ物を喉に送ることができる人です。ただし、食べ物を飲み込むためには口の中できちんとまとめられるかどうかが必要。もし口の中で食べ物をまとめられないと、誤嚥につながることがあります。そのため、コード2-1の場合には食品は全体が均等な食べ物、コード2-2では粒状のものが残った不均等な物となります。
1-9コード3
コード3は歯などを使って口の中で食品を潰すことが可能な人です。形のある食品を舌で上あごに押し付けることができるため、口の中で固まりを作りやすく、ばらばらになりにくいものが選ばれます。このコード3はソフト食などと呼ばれることもあります。
1-10コード4
コード4は上下の歯茎や舌などで食品をすりつぶすことができる人です。食べ物を食べるときには歯で噛むというイメージがありますが、実際に食べ物を飲み込むときには歯茎や舌を使って食品を細かくすりつぶすことが必要です。
コード4の食品は柔らかいご飯や全粥などが選ばれます。
02介護食の種類
専門的な分類以外にも、介護食には高齢者の身体の状態によっていくつかの種類が用いられます。
2-1きざみ食
「きざみ食」は、噛みやすいように食品を細かく刻んだものです。あごの筋力が低下して口を開けたり咀嚼したりといった行動が難しい人に用いられます。また、入れ歯が合わないというときにも便利ですが、唾液が少ない場合には飲み込むときにまとめるのが難しくなり、むせやすいという欠点もあります。また、あまり食材を細かく刻みすぎると、食品のかけらが入れ歯の間に入りやすくなるため注意が必要です。
2-2ソフト食・やわらか食(軟菜食)
ソフト食ややわらか食は、食材を良く煮込んだり、火を通す時間を長くすることで柔らかくした食事です。歯を使わなくても、舌だけで潰せる固さにすることもあります。これらの食事は、歯やあごの衰えで噛む力を衰えた人だけでなく、口の中で食事をまとめられない人にも用いられます。
高齢者の場合には、あごやのどだけでなく、胃腸の機能も低下することで消化不良を起こすことも考えられますが、すでにある程度食事が柔らかくなっているため、胃腸が弱い人にも適しています。
2-3ミキサー食
ミキサー食は食事をミキサーにかけ、飲み込みやすい液体状にした食事です。あまり食事を噛むことができない人や、嚥下が難しくなった人に用いられます。また、とろみをつけることで誤嚥を防止するときにも役立ちます。
ミキサーにかければかけるほど滑らかな状態になりますが、その場合にはどのようなメニューなのかが分かりにくくなってしまうため、盛り付けなどで工夫する必要があります。
2-4とろみ食・ゼリー食・ペースト食(嚥下食)
とろみ食やゼリー食、ペースト食は基本的にはミキサー食と変わりありませんが、ポイントは単に食事をミキサーにかけるのではなく、水分を減らしてからミキサーにかけるということ。
水分を減らしてミキサーにかけることでさらに食事を飲み込みやすい状態にします。食事を噛む力や飲み込む力がなく、誤嚥が心配だという人に向いています。
2-5流動食
流動食とは、スープなど液体状にした食事や、おかゆの上澄みである重湯などの食事です。胃腸の手術をした後や高熱が出たときなど、消化する力が衰えたときに使われます。
消化することを重視した食事ですが、カロリーや栄養素が不足しがちなので注意する必要があります。
03介護食品の選び方
介護食は自分で作ることもできますが、実際には技術が必要なもの。さらに固さや飲み込みやすさの判断も難しく、専門知識がないと難しい部分もあります。
そんなときに便利なのが、レトルト介護食や宅配の介護食サービス。これらの食事はプロの手によるもので、味や栄養素はもちろん、介護の専門家でも難しいと言われる介護食選びのわかりにくさを解消する基準が確立されています。
3-1スマイルケア食とは?
介護食選びは非常に難しいもので、特にメーカーによっても基準がまちまち。それぞれ使用する分類や表示が異なることもあり、選ぶときにも難しい点があります。
それを解消するのが「スマイルケア食」と呼ばれるもの。
スマイルケア食は農林水産省で始まった新しい取り組みで、メーカー間の分類・表示の違いによるわかりにくさを解消するだけでなく、食べる悩みに応じたフローチャートを利用することで介護食を選びやすくしています。
たとえば「飲み込みに問題がある」「噛むことに問題がある」といった質問に答えるだけで、飲み込む力が弱い、やや弱い、とても弱いなど高齢者の状態に合った食品を選択することが可能です。
3-2ユニバーサルデザインフードとは
「スマイルケア食」と同じように、高齢者の食事に便利なのが「ユニバーサルデザインフード」です。「ユニバーサルデザインフード」は「咀嚼しやすさ」や「飲み込みやすさ」に配慮している食品のことで、介護食だけでなく日常の食事にも使用することができます。
種類は非常に幅広く、レトルト食品や冷凍食品だけではなく、食事にとろみをつけることで飲みこみをサポートし誤嚥を防止するとろみ調整食品なども含まれています。
「ユニバーサルデザインフード」には専用のマークが記載されていることがポイント。
このマークは日本介護食品協議会が制定した企画に適合した商品だけに使うことが許されているため、安心して商品を選ぶことができます。
さらに「ユニバーサルデザインフード」の場合、硬さや粘度などの規格があり、それによって四つの区分に分類されているため、高齢者の状態に合った食品を選ぶことが可能。
たとえば、かむ力の目安としては「かたいものや大きいものはやや食べづらい」「固いものや大きいものは食べづらい」「細かくて柔らかければ食べられる」「固形物は小さくても食べづらい」といった四つの項目があり、それによって必要な商品を選べるのもうれしいポイント。
また、誤嚥を防ぐとろみ調整食品に関しても、とろみの強さを四段階に分類。「マヨネーズ」「ケチャップ」「とんかつソース」「フレンチドレッシング」など、とろみの状態をイメージしやすい工夫も行われています。
01まとめ
介護食は様々な形態があり、高齢者の健康的な食生活を支援するために設計されています。
ミキサー食やムース食、キザミ食など、咀嚼や嚥下機能に合わせてテクスチャや形状が異なります。
繊維質が少なく滑らかなので飲み込みやすく、栄養価も高い特徴があります。
施設や在宅で介護を受ける高齢者の個々の状態に合わせて、適切な介護食を提供することが重要です。
咀嚼や嚥下が困難な人には、やわらかく飲み込みやすいムース食が適しています。
一方、自立度の高い人には、キザミ食やミキサー食よりも通常に近い固さのものが適しています。
高齢者一人ひとりのニーズに合わせた食事を提供することで、健康的な食生活を実現できるでしょう。
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280講座以上の資格取得できる通信講座を運営する諒設計アーキテクトラーニング編集部が運営するコラムです。心理カウンセラー、ドッグトレーナー、リンパケアセラピストなど、実践的で需要の高い資格を提供しており、学習者は自分のペースで学べる柔軟なカリキュラムを受けることができます。専門知識を短期間で習得できるよう設計されており、仕事や趣味に役立つスキルを身につけることが可能です。
80,000人以上が受講申し込みしている諒設計アーキテクトラーニングの通信講座
あなたも早速受講して、資格を取得しましょう!
2-1きざみ食
「きざみ食」は、噛みやすいように食品を細かく刻んだものです。あごの筋力が低下して口を開けたり咀嚼したりといった行動が難しい人に用いられます。また、入れ歯が合わないというときにも便利ですが、唾液が少ない場合には飲み込むときにまとめるのが難しくなり、むせやすいという欠点もあります。また、あまり食材を細かく刻みすぎると、食品のかけらが入れ歯の間に入りやすくなるため注意が必要です。
2-2ソフト食・やわらか食(軟菜食)
ソフト食ややわらか食は、食材を良く煮込んだり、火を通す時間を長くすることで柔らかくした食事です。歯を使わなくても、舌だけで潰せる固さにすることもあります。これらの食事は、歯やあごの衰えで噛む力を衰えた人だけでなく、口の中で食事をまとめられない人にも用いられます。
高齢者の場合には、あごやのどだけでなく、胃腸の機能も低下することで消化不良を起こすことも考えられますが、すでにある程度食事が柔らかくなっているため、胃腸が弱い人にも適しています。
2-3ミキサー食
ミキサー食は食事をミキサーにかけ、飲み込みやすい液体状にした食事です。あまり食事を噛むことができない人や、嚥下が難しくなった人に用いられます。また、とろみをつけることで誤嚥を防止するときにも役立ちます。
ミキサーにかければかけるほど滑らかな状態になりますが、その場合にはどのようなメニューなのかが分かりにくくなってしまうため、盛り付けなどで工夫する必要があります。
2-4とろみ食・ゼリー食・ペースト食(嚥下食)
とろみ食やゼリー食、ペースト食は基本的にはミキサー食と変わりありませんが、ポイントは単に食事をミキサーにかけるのではなく、水分を減らしてからミキサーにかけるということ。
水分を減らしてミキサーにかけることでさらに食事を飲み込みやすい状態にします。食事を噛む力や飲み込む力がなく、誤嚥が心配だという人に向いています。
2-5流動食
流動食とは、スープなど液体状にした食事や、おかゆの上澄みである重湯などの食事です。胃腸の手術をした後や高熱が出たときなど、消化する力が衰えたときに使われます。
消化することを重視した食事ですが、カロリーや栄養素が不足しがちなので注意する必要があります。
03介護食品の選び方
介護食は自分で作ることもできますが、実際には技術が必要なもの。さらに固さや飲み込みやすさの判断も難しく、専門知識がないと難しい部分もあります。
そんなときに便利なのが、レトルト介護食や宅配の介護食サービス。これらの食事はプロの手によるもので、味や栄養素はもちろん、介護の専門家でも難しいと言われる介護食選びのわかりにくさを解消する基準が確立されています。
3-1スマイルケア食とは?
介護食選びは非常に難しいもので、特にメーカーによっても基準がまちまち。それぞれ使用する分類や表示が異なることもあり、選ぶときにも難しい点があります。
それを解消するのが「スマイルケア食」と呼ばれるもの。
スマイルケア食は農林水産省で始まった新しい取り組みで、メーカー間の分類・表示の違いによるわかりにくさを解消するだけでなく、食べる悩みに応じたフローチャートを利用することで介護食を選びやすくしています。
たとえば「飲み込みに問題がある」「噛むことに問題がある」といった質問に答えるだけで、飲み込む力が弱い、やや弱い、とても弱いなど高齢者の状態に合った食品を選択することが可能です。
3-2ユニバーサルデザインフードとは
「スマイルケア食」と同じように、高齢者の食事に便利なのが「ユニバーサルデザインフード」です。「ユニバーサルデザインフード」は「咀嚼しやすさ」や「飲み込みやすさ」に配慮している食品のことで、介護食だけでなく日常の食事にも使用することができます。
種類は非常に幅広く、レトルト食品や冷凍食品だけではなく、食事にとろみをつけることで飲みこみをサポートし誤嚥を防止するとろみ調整食品なども含まれています。
「ユニバーサルデザインフード」には専用のマークが記載されていることがポイント。
このマークは日本介護食品協議会が制定した企画に適合した商品だけに使うことが許されているため、安心して商品を選ぶことができます。
さらに「ユニバーサルデザインフード」の場合、硬さや粘度などの規格があり、それによって四つの区分に分類されているため、高齢者の状態に合った食品を選ぶことが可能。
たとえば、かむ力の目安としては「かたいものや大きいものはやや食べづらい」「固いものや大きいものは食べづらい」「細かくて柔らかければ食べられる」「固形物は小さくても食べづらい」といった四つの項目があり、それによって必要な商品を選べるのもうれしいポイント。
また、誤嚥を防ぐとろみ調整食品に関しても、とろみの強さを四段階に分類。「マヨネーズ」「ケチャップ」「とんかつソース」「フレンチドレッシング」など、とろみの状態をイメージしやすい工夫も行われています。
01まとめ
介護食は様々な形態があり、高齢者の健康的な食生活を支援するために設計されています。
ミキサー食やムース食、キザミ食など、咀嚼や嚥下機能に合わせてテクスチャや形状が異なります。
繊維質が少なく滑らかなので飲み込みやすく、栄養価も高い特徴があります。
施設や在宅で介護を受ける高齢者の個々の状態に合わせて、適切な介護食を提供することが重要です。
咀嚼や嚥下が困難な人には、やわらかく飲み込みやすいムース食が適しています。
一方、自立度の高い人には、キザミ食やミキサー食よりも通常に近い固さのものが適しています。
高齢者一人ひとりのニーズに合わせた食事を提供することで、健康的な食生活を実現できるでしょう。
- 通信講座の諒設計アーキテクトラーニング編集部
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80,000人以上が受講申し込みしている諒設計アーキテクトラーニングの通信講座
あなたも早速受講して、資格を取得しましょう!
そんなときに便利なのが、レトルト介護食や宅配の介護食サービス。これらの食事はプロの手によるもので、味や栄養素はもちろん、介護の専門家でも難しいと言われる介護食選びのわかりにくさを解消する基準が確立されています。
3-1スマイルケア食とは?
介護食選びは非常に難しいもので、特にメーカーによっても基準がまちまち。それぞれ使用する分類や表示が異なることもあり、選ぶときにも難しい点があります。
それを解消するのが「スマイルケア食」と呼ばれるもの。
スマイルケア食は農林水産省で始まった新しい取り組みで、メーカー間の分類・表示の違いによるわかりにくさを解消するだけでなく、食べる悩みに応じたフローチャートを利用することで介護食を選びやすくしています。
たとえば「飲み込みに問題がある」「噛むことに問題がある」といった質問に答えるだけで、飲み込む力が弱い、やや弱い、とても弱いなど高齢者の状態に合った食品を選択することが可能です。
3-2ユニバーサルデザインフードとは
「スマイルケア食」と同じように、高齢者の食事に便利なのが「ユニバーサルデザインフード」です。「ユニバーサルデザインフード」は「咀嚼しやすさ」や「飲み込みやすさ」に配慮している食品のことで、介護食だけでなく日常の食事にも使用することができます。
種類は非常に幅広く、レトルト食品や冷凍食品だけではなく、食事にとろみをつけることで飲みこみをサポートし誤嚥を防止するとろみ調整食品なども含まれています。
「ユニバーサルデザインフード」には専用のマークが記載されていることがポイント。
このマークは日本介護食品協議会が制定した企画に適合した商品だけに使うことが許されているため、安心して商品を選ぶことができます。
さらに「ユニバーサルデザインフード」の場合、硬さや粘度などの規格があり、それによって四つの区分に分類されているため、高齢者の状態に合った食品を選ぶことが可能。
たとえば、かむ力の目安としては「かたいものや大きいものはやや食べづらい」「固いものや大きいものは食べづらい」「細かくて柔らかければ食べられる」「固形物は小さくても食べづらい」といった四つの項目があり、それによって必要な商品を選べるのもうれしいポイント。
また、誤嚥を防ぐとろみ調整食品に関しても、とろみの強さを四段階に分類。「マヨネーズ」「ケチャップ」「とんかつソース」「フレンチドレッシング」など、とろみの状態をイメージしやすい工夫も行われています。
01まとめ
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