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刻み食とは?メリット・デメリットや作り方を解説

刻み食とは、固形の食べ物を細かく刻み、流動的にした食事形態です。
主に高齢者や咀嚼・嚥下機能が低下した人向けに用いられます。
メリットとしては、食べやすさの向上、窒息リスクの低減、食事時間の短縮が挙げられます。
一方で、食感の劣化や、栄養成分の損失などのデメリットも存在します。
刻み食の作り方は、食材の種類に合わせて調理し、きめ細かな食感になるよう工夫することが重要です。
高齢者の健康維持のために、刻み食は有効な選択肢の1つといえるでしょう。
年を取ると、噛む力が衰えたり、入れ歯が合わなくなったりと、食事を食べることが難しくなる場合があります。そんなときに役立つのが「きざみ食」。今回はきざみ食の特徴や作り方のポイント、レシピなどを紹介します。

メリットだけでなくデメリットも!「きざみ食」の基本と作り方について
目次

01刻み食とは?

刻み食とは、固形の食べ物を細かく刻み、ペースト状に加工した食事形態です。 主に咀嚼や嚥下の機能が低下した高齢者や障害者などを対象としています。 刻み食にはいくつかのメリットがあります。 まず、食べやすさが向上するため、窒息リスクを低減できるでしょう。 また、調理時間が短縮でき、食事時間も短くなります。 さらに、食感の劣化によって食欲増進にもつながる可能性があります。 一方で、デメリットもあります。調理の際に栄養成分の損失が起こる可能性があり、食事の彩りや見栄えも損なわれがちです。 さらに、食べ応えがないため、満足感が得られにくい面もあります。 刻み食の作り方は、食材の特性に合わせて工夫する必要があります。 例えば、肉類はひき肉に、野菜は細かくカットするなど、きめ細かな食感になるよう調整します。 高齢者の健康維持には、嚥下機能に合わせた食事形態の選択が重要です。

01刻み食の特徴

刻み食の特徴は以下の通りです。 ・咀嚼と嚥下の負担が軽減される ・食べ物の形状が小さい ・食べやすさと味わい深さ こちらを順にご紹介します。

1-1咀嚼と嚥下の負担が軽減される

刻み食の大きな特徴は、咀嚼と嚥下の負担が軽減されることです。 固形の食べ物を細かく刻むことで、歯や口腔内の筋肉に掛かる負担が大幅に 削減 されます。 通常の食事では、固形物を噛み砕き、舌で口腔内に移動させ、のどを通して食道へと送り込む一連の動作が必要です。 しかし、刻み食では食材がすでにペースト状になっているため、咀嚼の必要がほとんどありません。 また、嚥下の過程でも、ペースト状の食材は固形物に比べて通過しやすいため、食道への送り込みが容易になり、窒息のリスクも大幅に低下します。 こうした咀嚼と嚥下の負担軽減により、高齢者や障害者などでも安全に食事を摂ることができ、食べる速度が速くなり、食事時間の短縮にもつながります。 さらに、ペースト状の食感は食欲を刺激する効果も期待できます。 食材の色合いや香りなど、視覚と嗅覚を通した食事体験も重要です。

1-1食べ物の形状が小さい

刻み食の大きな特徴は、食べ物の形状が小さく細かくなっていることです。 固形の食材を、ミキサーやフードプロセッサーなどを使って、ペースト状に加工するのが一般的です。 通常の食事では、食材を口に運び、歯で噛み砕いて小さくしていきます。 しかし、高齢者や障害者の場合、この咀嚼する力が十分でない場合があります。 そこで、予め食材を細かく刻んでおくことで、咀嚼の負担を大幅に軽減できるのが刻み食の利点です。 食べ物が小さな粒子状になることで、飲み込む際の嚥下動作も容易になり、固形物が通過する際に起きがちな詰まりや、窒息のリスクも低減されます。 また、このように食材を細かくすることで、消化吸収も促進され、食べ物の表面積が広がるため、消化酵素の働きが効率的になるからです。 さらに、刻み食は見た目の彩りを損なうことが多いため、味わいを引き立てるための調理法を工夫する必要があります。 食材の組み合わせや味付けを考えることで、見た目の美しさと食べ応えのある仕上がりが期待できるでしょう。

1-1食べやすさと味わい深さ

刻み食の大きな特徴は、食べやすさと味わい深さのバランスを実現できることです。 まず、食べやすさの点では、食材を細かく刻むことで、咀嚼や嚥下の負担が大幅に軽減されます。 固形食を口にする際の窒息リスクも低減されるため、高齢者や障害者の方々でも安全に食事がとれるようになり、食事時間の短縮にもつながります。 一方で、味わい深さの確保も重要です。単に食材を細かく砕くだけでは、食感の魅力が失われがちです。 そこで、刻み食では食材の組み合わせや調理方法を工夫し、ペースト状の食感を引き立てる努力が必要となります。 例えば、柔らかな食材と硬めの食材をうまく組み合わせたり、ピューレ状の食材に食感のアクセントとなる食材を加えたりと、バリエーション豊かな調理法が求められます。 さらに、彩りや香りにも配慮し、見た目と香りで食欲を刺激することも重要です。 高齢者の方々の食事の楽しみを引き出すには、こうした工夫が不可欠です。 このように、刻み食は「食べやすさ」と「味わい深さ」のバランスを追求する調理法といえるでしょう。

01刻み食のメリット

刻み食のメリットは以下の通りです。 ・咀嚼と嚥下が楽になる ・食べ物の詰まりが減る ・食事量の確保が容易 こちらを順にご紹介します。

1-1咀嚼と嚥下が楽になる

通常の食事では、固形の食材を口に運び、歯で噛み砕いて小さくしていく必要があります。 しかし、高齢者や障害者の方々の場合、この咀嚼する力が十分ではないことがあるでしょう。 そのため、食べ物が喉に詰まったり、窒息のリスクが高まったりするのが問題となります。 一方で、刻み食では、予め食材を細かく加工しているため、咀嚼の負担が大幅に減らせます。 口の中で食べ物を粉砕する必要がなくなるので、高齢者でも安全に食事をとれるようになるでしょう。 さらに、細かく刻まれた食材は、飲み込む際の嚥下動作も容易になります。 固形物が通過する際に起きがちな詰まりや、窒息のリスクも低減されます。 このように、刻み食は高齢者の方々の食生活を支える大きな利点を持っています。 咀嚼と嚥下の負担が和らげられるため、食事の時間が短縮でき、加えて安全性も高まるでしょう。 さらに、細かく刻まれた食材は消化吸収も促進されるというメリットもあります。 食材の表面積が広がるため、消化酵素の働きが効率的になるためです。

1-1食べ物の詰まりが減る

通常の固形食では、食べ物が喉に詰まりやすく、窒息のリスクがあります。 特に高齢者の場合、咀嚼力や嚥下機能が低下しているため、この問題がより深刻化します。 食事中に詰まりが起きると、救急対応が必要となり、場合によっては命に関わる危険な事態にもなりかねません。 しかし、刻み食では、食材が細かく砕かれているため、喉に詰まりにくくなります。 口の中で食べ物を更に粉砕する必要がないため、飲み込みが容易になるのです。 また、刻み食の場合、食べ物の塊が大きくならないので、食道を通過する際にも詰まりにくくなります。 食事中の窒息リスクが大幅に低減されるのが大きなメリットと言えます。 さらに、食べ物の詰まりが減れば、救急搬送などの緊急事態も避けられます。 医療費の削減にもつながり、高齢者の方々の QOL 向上にもつながるでしょう。 このように、刻み食は高齢者の方々の安全な食事を保証する大切な調理法なのです。

1-1食事量の確保が容易

高齢になると、加齢に伴い食欲が低下したり、咀嚼や嚥下の能力が衰えたりするため、十分な食事量を確保することが難しくなります。 必要なカロリーや栄養素を取れずに、やせ細ってしまうリスクがあるでしょう。 しかし、刻み食なら食べやすさが大幅に向上するため、食事量を維持するのが容易になります。 固形の食べ物を噛む必要がないので、高齢者でも少しずつ確実に食べられるようになります。 さらに、刻み食は見た目も食べやすさも改善されるので、食事に対する意欲が湧きやすくなるでしょう。 それにより、自発的に食事を進んで取るようになり、結果的に必要量の摂取が可能となります。 また、細かく調理された食材は消化吸収も良好なので、栄養の効率的な摂取にもつながり、必要な栄養素を確実に取れるようになるのです。 このように、刻み食は高齢者の方々の低下した食欲や咀嚼・嚥下能力を補うことができ、十分な食事量の確保を可能にします。

01刻み食のデメリット

刻み食のデメリットは以下の通りです。 ・調理に手間がかかる ・見た目の美しさが損なわれる ・栄養素の損失 ・食べ応えの低下 こちらを順にご紹介します。

1-1調理に手間がかかる

通常の食事であれば、調理工程は比較的簡単です。 食材を切ったり、煮たりするなど、基本的な調理技術で対応できます。 しかし、刻み食の場合、食材を細かく刻む工程が必要となります。 高齢者の方々の中には、手先の器用さが低下していたり、疲れやすかったりする方もいます。 そのような方が自ら刻み食を作るのは難しいかもしれません。 また、介護を行う家族にとっても、通常の調理に加えて刻み食の調理工程を行うのは、かなりの負担になる可能性があります。 特に、忙しい日常生活の中では、さらなる調理時間の確保が困難になる場合も考えられます。 このような手間のかかる調理工程が、刻み食の大きなデメリットと言えるでしょう。 高齢者の方々や、介護家族の負担軽減のため、手軽に刻み食を提供できる外部サービスの活用などが求められます。 また、刻み食を作る際の機器の開発など、調理の簡便化に向けた取り組みも重要になってくるでしょう。 デメリットを最小限に抑えつつ、刻み食のメリットを最大限に活かせるような工夫が必要不可欠です。

1-1見た目の美しさが損なわれる

一般的な料理であれば、食材の形状や色合いを活かすことで、見た目の美しさを出すことができます。 しかし、刻み食の場合、食材を細かく刻むため、料理全体としての見栄えが損なわれてしまいます。 高齢者の方々には、視覚的な刺激が大切です。 美しい料理を目にすることで、食事に対する興味や期待感が高まり、積極的に食事に取り組むことができます。 しかし、見た目が損なわれた刻み食では、そのような効果が期待できません。 さらに、見た目の悪さは、食欲の減退にもつながる可能性があり、見栄えの良い料理は、食欲を刺激するため、高齢者の方々の摂取量を増やすことができます。 しかし、刻み食ではそのような効果が得られない可能性があるのです。 このように、刻み食の見た目の悪さは、高齢者の方々の心身両面にマイナスの影響を及ぼす可能性があります。 調理技術の工夫や、盛り付けの工夫など、見た目の美しさを損なわないよう配慮することが重要になってきます。

1-1栄養素の損失

一般的な調理では、食材の形状や組織を保ったまま調理することで、多くの栄養素を維持することができます。 しかし、刻み食の場合、食材を細かく刻むことで、食材本来の構造が損なわれてしまいます。 この結果、食材に含まれる水溶性ビタミンやミネラルなどの栄養素の一部が失われてしまう可能性があるでしょう。 特に、ビタミンCやビタミンB群、葉酸といった栄養素は、調理過程で大きな損失が起こりやすいとされています。 高齢者の方々にとって、これらの栄養素は非常に重要です。 免疫機能の維持や、貧血予防、認知機能の維持など、様々な健康面での効果が期待されています。 しかし、刻み食による栄養素の損失は、高齢者の方々の健康状態を悪化させる可能性があるのです。 そのため、刻み食を提供する際は、栄養素の損失を最小限に抑えるため、食材の調理方法や組み合わせなどに配慮することが重要になります。 また、必要に応じて、サプリメントの活用なども検討されるべきでしょう。

1-1食べ応えの低下

一般的な料理では、食材の形状や組織が保たれることで、食べ応えのある食事を提供することができます。 しかし、刻み食の場合、食材を細かく刻むことで、食材本来の触感や歯ごたえが失われてしまいます。 これにより、高齢者の方々にとって、食事の楽しみが損なわれる可能性があるでしょう。 食事は単なる栄養摂取だけでなく、口の中での感触や食べる過程そのものが、人生の質を高める上で重要な要素となります。 しかし、刻み食では、このような食事の楽しみが失われてしまう可能性があり、食べにくさから、高齢者の方々の食欲が減退したり、嚥下の困難さから、十分な量を摂取できなくなる恐れがあります。 そのため、刻み食を提供する際は、食材の形状や組織を可能な限り保ちつつ、高齢者の方々にとって食べやすい調理方法を検討することが重要です。 例えば、食材を細かく刻むのではなく、ほぐす方法や、ソースとの相性を考えるなど、食べ応えを損なわずに提供できる工夫が必要となります。 このように、刻み食の食べ応えの低下は、高齢者の方々の食事の楽しみを損なう可能性があるため、その点への配慮が重要です。

01刻み食の作り方

刻み食の作り方は以下の通りです。 ・食材の下処理 ・柔らかさ作り ・ソースやつゆの活用 ・盛り付け こちらを順にご紹介します。

1-1食材の下処理

食材を適切に下処理することで、栄養素の損失を最小限に抑え、食べ応えのある仕上がりを実現することができます。 まず、食材の選別と洗浄が大切です。 新鮮で良質な食材を選び、汚れや残留農薬などを洗い流すことが重要です。 この工程で、食材本来の風味や食感を損なわずに、安全性を高めることができます。 次に、食材の前処理として、皮むきや骨抜き、切り分けなどを行います。 これにより、食材を食べやすい大きさや形状に整えることができ、嚥下しやすい仕上がりが得られます。 同時に、食材内部の栄養素の損失を抑えることも可能です。 さらに、ブランチングと呼ばれる手順を経ることで、食材の酵素活性を抑制し、色や香りを保ちつつ、柔らかさを出すことができます。 これにより、食材本来の風味を活かしつつ、食べやすさを向上させることが可能です。 このように、食材の下処理は、刻み食の仕上がりを大きく左右する重要な工程です。 適切な下処理を行うことで、栄養素の損失を抑えつつ、食べ応えのある刻み食を提供することができるのです。

1-1柔らかさ作り

高齢者の方々には、硬い食材を噛むことが難しい場合があるため、適切な調理方法によって食材を柔らかく仕上げることが重要となります。 まずは、食材の前処理として、ブランチングやゆでる、蒸す、煮る、あるいはソテーするなどの加熱調理を行います。 これにより、食材の組織が破壊されて柔らかさが出るだけでなく、食べやすさも向上します。 特に、ブランチングは重要な工程です。この工程では、食材を短時間湯通しすることで、酵素活性を抑制し、色や香りを保ちつつ食材を柔らかく仕上げることができるでしょう。 また、調理時間を長めにとることで、食材の繊維が十分に軟化し、柔らかい食感を実現することができ、煮込み料理などは、このような調理法の代表例と言えるでしょう。 さらに、食材の切り方にも工夫が必要です。 細かく刻みすぎると、食べ応えが低下してしまう可能性があるため、できるだけ大きめの切り口を心がけましょう。 このように、食材の柔らかさを作り出すことは、刻み食を高齢者の方々に提供する上で非常に重要なポイントとなります。 適切な調理方法と組み合わせの工夫により、美味しく食べやすい刻み食を実現することができるのです。

1-1ソースやつゆの活用

適切なソースやつゆを使うことで、刻み食の味わいや食べ応えを高めることができます。 まず、ソースやつゆは刻み食の食感を滑らかにするのに役立ちます。 食材を細かく刻むと、かみ応えが減ってしまう可能性があるでしょう。 そこでソースやつゆを加えることで、口の中での食材の動きをスムーズにし、滑らかな食感を演出できます。 また、ソースやつゆには、食材の風味を引き出したり、味わいを深めるはたらきがあります。 刻み食は食材本来の味が薄まりがちですが、適切なソースやつゆを使うことで、その問題を解消できるでしょう。 煮物のつゆやクリームソース、ポン酢など、食材に合わせた調味料を選ぶことが重要です。 さらに、ソースやつゆには食べやすさの向上にも効果があります。 高齢者の方は時に、固さや乾燥した食感が苦手な場合があります。そこでソースやつゆを活用し、食材をしっとりと柔らかに仕上げることで、嚥下しやすい食べ心地を実現できます。 このように、ソースやつゆの活用は、刻み食の味わい、食感、食べやすさ、そして栄養価の向上に大きな役割を果たします。 調理の際は、食材に合わせた適切なソースやつゆの選択が重要なポイントとなるのです。

1-1盛り付け

適切な盛り付けを行うことで、高齢者の方々に楽しんでいただける刺激的な食事を提供できるでしょう。 まず、食材を細かく刻んだ後は、それぞれの食材を分けて盛り付けることが推奨されます。 これにより、食材の色合いや食感の違いが際立ち、見た目の華やかさが増します。 例えば、緑色の野菜、オレンジ色の根菜、白い魚などを分けて盛り付けると良いでしょう。 次に、食器の選択にも気を配りましょう。 高さのある深い器を使えば、食材を盛り付けやすく、食事を楽しむ雰囲気も演出でき、食器の色合いにも配慮し、素材感や色味を変えて彩りを添えると良いでしょう。 さらに、食材の配置にも工夫が必要です。 高さのある盛り付けをすることで、見た目の華やかさを演出できます。 また、食材同士を隣接させずに適度な余白を設けることで、上品な印象を与えられます。 盛り付けの際は、食べやすさにも配慮しましょう。 高齢者の方には、つまみやすい大きさや、スプーンで掬いやすい配置が望ましいでしょう。 食事時の動作を想像しながら、使いやすさにも配慮した盛り付けを心がけましょう。

01きざみ食

高齢者の場合、噛む力が低下して大きいものや固いものを上手に噛むことができなくなります。そんなときに便利なのが「きざみ食」です。

1-1食材を細かく刻んだ食事

きざみ食は、普通の食事を食べやすくするため、5ミリから1センチ程度に細かく刻んだ食事のことです。
通常の食事を食べる場合は、歯で噛むことによって口の中で食材を細かくして飲み込みやすくしますが、高齢化によって噛む力が衰えると、なかなか食材を細かくすることが難しくなります。
また、歯が悪い人の場合には、上手く噛めないだけでなく痛みなどが出ることも。そうなると、食事を楽しむことができなくなってしまいます。
きざみ食を用いると、すでに食材が刻んであることで、歯が悪い人にとって痛みが出ることもありません。

1-2向いている人

きざみ食は高齢者にとって非常に食べやすい食事ですが、どのような人にでも向いているというわけではありません。
きざみ食が向いているのは、あごの周りの筋肉が衰えることによって口が開きにくくなったり、噛む力が弱くなった人。また、高齢者は歯のトラブルがあることが少なくありませんが、歯が抜けてしまった人や、歯が悪い人、入れ歯が合わないという人にも向いている食事です。

1-3デメリットもある食事形態

きざみ食は高齢者にとって便利な食事の形態ですが、注意しなければならないこともあります。
というのも、きざみ食は口を開けたり、噛む力が弱くなっている人にとっては便利ですが、食材を刻むことでデメリットも生まれるもの。また、噛む力だけが衰えている人は少ないため、他にも衰えている部分がある場合、逆に食べにくくなってしまうこともあります。
そのため、きざみ食は高齢者の身体の状態に合わせて用いることが必要になります。

02刻み食の特徴

それでは、きざみ食にはどのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。

2-1きざみ食のメリット

きざみ食の大きなメリットは、「噛まなくても食べられる」ということです。食事を食べるときにはどうしても噛むことが必要ですが、噛む力が衰えていると、固いものを噛むことができないだけでなく、長時間噛み続けていることも難しくなります。
しかし、もともと食材を細かく刻んであるきざみ食の場合、噛む回数が少なくて済むため、高齢者への身体や消化器への負担が少なくなります。
また、見た目が良いというのもきざみ食のメリットのひとつ。
高齢者の介護食の中には、食材をミキサーにかけたミキサー食などもありますが、ミキサー食の場合、すべてがペースト状になってしまうため、何を食べているのか分からなくなってしまうことも珍しくありません。
さらにミキサー食は彩りもなく、食べていてもつまらないといったことも起こりがち。
しかし、刻み食の場合は通常の食事を細かく刻んでいるだけなので、見た目はほぼ普通食と変わらず、見た目でも食事を楽しむことができます。
また、ミキサーにかけるとなくなってしまいがちな香りも保てるため、食事を食べる人の食欲増進にも効果が期待できます。

2-2デメリット

様々なメリットのあるきざみ食ですが、一方ではデメリットもあります。
きざみ食の大きなデメリットが、誤嚥の危険があるということ。
誤嚥とは食べ物が食道ではなく、気管に入ってしまうことですが、もし誤嚥を起こすと肺炎などにつながり、体力が低下している高齢者には命とりになってしまうこともあります。
健康な人であれば、口の中で食べ物をまとめて飲み込むことで誤嚥を防いでいますが、飲み込む力が衰えている高齢者の場合、食べ物をまとめるのが難しく、誤嚥を起こしてしまいがち。
さらに食物を細かく刻んでいるきざみ食は、口の中で食べ物がバラバラになってしまいやすいため、結果として誤嚥のリスクが高くなってしまいます。
また、細かく刻んだ食べ物は、入れ歯の間や歯の間に挟まりやすく、それが原因で虫歯や歯周病になってしまうことがあります。
それに加えて高齢者にとって歯のケアは難しいため、きざみ食を食べたあとには口腔ケアが必要になります。
きざみ食を作るときには、包丁やまな板を何度も使用することになり、食中毒のリスクも高くなります。
特に調理用のまな板と、食事を刻むまな板を分けていない場合には雑菌も繁殖しがちです。そのため、食中毒を防ぐためには調理道具を分けたり、作業ごとに消毒を行ったりといったケアが必要になります。

03きざみ食の作り方とポイント

きざみ食というと、単に食材を刻めばいいと考えがち。しかし実際にきざみ食を作るときにはいくつか注意したいポイントがあります。

3-1きざむ

きざみ食の基本は食材を刻むこと。もし水分が豊富な食材や柔らかいものであれば、刻むだけで十分に食べることができます。その場合には、噛む力に応じて大きさを調整するとよいでしょう。
一方、水分が少ないものや、ある程度の固さがある食材を使う場合には調理方法を工夫する必要があります。
たとえば、キャベツなどもともとの水分が少ない食材の場合には、汁ものなどに入れて水分を補うと食べやすくなります。
また、揚げ物など汁ものに入れるのが難しい場合には、たれやソースを含ませることで水分を補うという方法があります。その他にも、ダシで煮たり、卵でとじることで食べやすく工夫することも可能です。

3-2ほぐす、つぶす

食材の中には、刻むことが難しいものや、刻むと逆に食べにくくなってしまうことがあります。
たとえば焼き魚や煮魚。これらの魚料理をきざみ食にする場合には、食べやすい大きさにほぐしたほうがよいでしょう。
また、かぼちゃやじゃがいもなど、口の中の水分がなくなってしまいがちなものは、潰して適度な大きさにしましょう。

04きざみ食を調理するときの注意点

きざみ食は高齢者にとって非常に役立つ食事の形態です。より食べやすい食事にするためには注意したい点があります。

4-1口の中でまとまりやすくする

まず、きざみ食で重要なのがとろみをつけること。
すでに説明したように、食材を細かく刻んだだけでは食材が口の中でまとまらず、飲み込みにくくなり、誤嚥の原因となります。
それを防ぐためにも、片栗粉などでとろみをつけて食べやすく工夫しましょう。
また、食材によっては単に刻んだだけでは口当たりが悪くなってしまうものもあります。その場合には水分を補うことが必要です。

4-2調理用具を清潔に

高齢者に食事を提供するときにもっとも注意しなければならないのが食中毒。高齢者は体力だけでなく、免疫力が低下しているため、健康な人にとっては大したことがない場合でも、非常に危険な状態に陥ってしまう可能性があります。
それを防ぐために徹底したいのが、包丁やまな板の消毒です。
きざみ食の場合、包丁やまな板に食材が触れることが多くなるため、一般的な食事に比べてしっかりと消毒を行う必要があります。
また、肉や魚を洗ったときの水の飛び散りにも注意が必要です。
肉や魚の表面には雑菌が付着していることがありますが、それを水で洗うと、雑菌がシンク一面に飛び散ってしまう結果に。そのため、水洗いをする場合にはシンクの消毒も行いましょう。
さらにきざみ食は普通の食事に比べて表面積が増えることで細菌が繁殖する可能性が高くなります。
できれば作りたてを提供し、残ったものは翌日などに持ち越さないように気を付けましょう。

05刻み食レシピ

それでは、作りやすく食べやすいきざみ食のレシピにはどのようなものがあるのでしょうか。

5-1親子丼

鶏肉、タマネギは普通食の場合よりも細かく刻みます。特にタマネギは繊維が残りやすくなるため、繊維を断ち切るようにカットします。
次に鍋に出汁としょうゆ、みりん、砂糖を入れてひと煮立ちさせたあと、具材を入れて加熱します。
具材に火が通ったら水に溶いた片栗粉でとろみをつけて卵でとじます。
柔らかく炊いたご飯に具を乗せれば親子丼の完成です。

5-2肉の網焼き

高齢者は味覚が衰えているため、味の濃いものを美味しいと感じることが多くなります。そんなときにおすすめなのが肉の網焼きです。肉はどのようなものでも構いませんが、肉を選ぶときには、出来るだけ脂の多いものを使用しましょう。赤身の肉は水分が少なく、飲み込むのが難しいことがあります。
もし肉にスジがある場合には細かく包丁を入れて、肉を叩いて繊維を伸ばします。
次に、肉を網で焼き、焼き上がったら小さなサイズにカットします。
たれはお好みのもので構いませんが、水で溶いた片栗粉を加えると、とろみがついて飲み込みやすくなります。

5-3ポテトサラダ

きざみ食のポテトサラダを作るときは、具材の大きさと柔らかさに注意しましょう。通常のポテトサラダの場合、ジャガイモを加熱するときには串などがすっと通る固さが目安になりますが、きざみ食にする場合にはさらに柔らかめになるように加熱を行います。
また、ジャガイモは粒が残らないようにしっかりと加熱を行います。
ポテトサラダに加える食材はお好みで構いませんが、キュウリを加えるときにはあらかじめ塩揉みをして柔らかくしておくとよいでしょう。
また、ハムなどの食材は薄くて噛みにくいため、できれば避けたほうがよいでしょう。
もしマヨネーズ以外に酢を加えたいというときには、あらかじめ加熱して酸味を飛ばしておくほうがよいでしょう。酸っぱい食べ物はむせてしまうこともあり、誤嚥の原因になってしまいます。

01まとめ

刻み食のメリットは主に食べやすさの向上です。 咀嚼や嚥下が困難な人でも安全に食べられるため、窒息リスクが低下します。 また、調理時間の短縮により食事の負担が軽減されるほか、食事時間も短くなります。 さらに、ペースト状の食感が食欲を誘発する可能性があるでしょう。 一方で、デメリットもあります。食材を細かく刻むことで、栄養成分の損失が起こる可能性があります。 また、彩りや見栄えが損なわれ、食べ応えの乏しさから満足感が得られにくい面もあります。 しかし、これらの課題は調理方法を工夫することで解消できます。 好みの食材を使い、きめ細かな食感を実現すれば、楽しみながら健康的に摂取できるはずです。 高齢者の方々に寄り添う心づくりも大切です。
通信講座の諒設計アーキテクトラーニング編集部
280講座以上の資格取得できる通信講座を運営する諒設計アーキテクトラーニング編集部が運営するコラムです。心理カウンセラー、ドッグトレーナー、リンパケアセラピストなど、実践的で需要の高い資格を提供しており、学習者は自分のペースで学べる柔軟なカリキュラムを受けることができます。専門知識を短期間で習得できるよう設計されており、仕事や趣味に役立つスキルを身につけることが可能です。
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