心理学の種類・活用方法|仕事や子育て・恋愛に役立つ12の知識大公開!
心理学と一言でいっても、その種類は非常に多岐にわたります。
知っていれば日常生活でも役立つ知識も数多くあり、上手に活用すれば恋愛や仕事に役立てられるでしょう。
そこで今回は、心理学の種類とその活用方法をご紹介します。
ご紹介するのは、「仕事」「子育て」「恋愛」「人付き合い」の4つの分野。
「ちょうど今悩んでいるんだよね」という方は必見です。
またより心理学について深く学んでみたいという方のために、おすすめの心理資格を4つ最後にご紹介しています。
資格取得後は、日常生活に役立てられるだけでなく、カウンセラーとして働くことも可能です。
ぜひ参考にしてみてください。
- 目次
- 1. 心理学の種類
- 1-1. 基礎心理学
- 1-2. 応用心理学
- 2. 心理学の活用方法 ①仕事
- 2-1. ザイオンス効果
- 2-2. フット・イン・ザ・ドア・テクニック
- 2-3. ドア・イン・ザ・フェイス・テクニック
- 3. 心理学の活用方法 ②子育て
- 3-1. イーブン・ア・ペニー・テクニック
- 3-2. 自己肯定感
- 4. 心理学の活用方法 ③恋愛
- 4-1. 吊り橋効果
- 4-2. 好意の返報性
- 4-3. 単純接触効果
- 5. 心理学の活用方法 ④人付き合い
- 5-1. 初頭効果
- 5-2. バックトラッキング
- 6. 心理学の基本的な分類と特徴
- 6-1. 臨床心理学:心の健康と治療
- 6-2. 発達心理学:人間の成長と変化
- 6-3. 社会心理学:人間関係と集団行動
- 7. 実験的アプローチを重視する心理学の分野
- 7-1. 認知心理学:思考と記憶のメカニズム
- 7-2. 生理心理学:脳と行動の関係
- 7-3. 実験心理学:科学的手法による心の解明
- 8. 応用分野における心理学の種類
- 8-1. 教育心理学:学習と教育の心理
- 8-2. 産業・組織心理学:職場と組織の心理
- 8-3. スポーツ心理学:競技力向上と心理サポート
- 9. 現代社会に対応する新しい心理学の分野
- 9-1. ポジティブ心理学:幸福と well-being の追求
- 9-2. 環境心理学:人間と環境の相互作用
- 9-3. サイバー心理学:デジタル時代の心理
- 10. 心理学の専門的アプローチ
- 10-1. 精神分析学:無意識と心の深層
- 10-2. 行動主義心理学:観察可能な行動の分析
- 10-3. 人間性心理学:自己実現と成長
- 11. 自分に合う心理学の分野の見つけ方
- 11-1. 興味関心に基づく選択
- 11-2. キャリアゴールとの関連性
- 11-3. 実践と理論のバランス
- 12. 日常に役立つおすすめ心理資格
- 12-1. メンタル士心理カウンセラー®
- 12-2. 子供心理カウンセラー
- 12-3. 家族心理カウンセラー
- 12-4. 行動心理カウンセラー
- 13. まとめ
01心理学の種類
しっかりと学んだ経験のない人でも、日常生活で無意識のうちに活用している、とても身近な学問です。
心理学を簡単に分けると「基礎心理学」「応用心理学」のふたつに分けられます。このふたつがさらに枝分かれして、さまざまなジャンルに分けられています。
1-1基礎心理学
「基礎心理学」とはその名のとおり、心理学の基礎となる部分を学ぶ学問です。人間の心の法則を理論的に研究し、科学的に解明していきます。
「基礎」といっても範囲はとても広く12種類に分類されています。
生理心理学 (生物心理学) |
心電図や脳波などの情報と心理状態を照らし合わせ、その関連を研究するジャンル うそ発見器などが生理心理学を活用した例 |
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認知心理学 | 知覚・言語・学習といった認知活動を研究する学問 |
発達心理学 | 年齢を重ねて、心はどう変化するのか研究する心理学 |
学習心理学 | 人間だけでなく動物全般において、経験がどのように行動に影響するのかを研究する心理学 「パブロフの犬」はよく知られている。 |
社会心理学 | 集団心理や、社会の個人に与える影響などを研究する分野 SNSの与える影響の研究など |
性格心理学 (人格心理学) |
人の性格(パーソナリティ)について研究する分野 |
行動心理学 | 人間の行動やしぐさからその行動が起こる心理を研究する分野 |
知覚心理学 | 人間の「知覚」(聴覚・視覚・味覚・嗅覚・触覚など)について研究する学問 |
神経心理学 | 脳を代表とする神経系と、言語や認知をつかさどる精神機能の関わりを研究するジャンル。 |
異常心理学 | 異常な心理現象や、異常行動などを研究する分野 |
言語心理学 | 言語とそれを使う人の行動面などを研究する分野 |
数理心理学 (計量心理学) |
数字を使って心理的な研究を行う分野 |
1-2応用心理学
「応用心理学」は「基礎心理学」をベースにして、日常に具体的に役立てることを目的とした学問です。教育やスポーツ、災害など14種類の分類があります。
臨床心理学 | うつのような精神疾患の予防や治療を研究するジャンル ストレスの多い現代社会では重要視されている分野 |
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犯罪心理学 | 犯罪全般を研究する分野。 過去の事例や、犯罪者のプロフィールなどをもとに、心理学的見地から事件解決を目指す。 |
産業心理学 | 産業活動を行う人の問題を研究し、問題解決を目指す学問。 |
教育心理学 | 心理学を活用し、効率的な教育を研究する分野 子どもと教師のコミュニケーションの方法や、勉強の教え方などを探求する |
災害心理学 | 災害発生時の人間の取りうる行動や心理を研究し、人的二次災害を防ぐことが目的の学問 |
スポーツ心理学 | スポーツにおける課題を心理学的に研究し、アスリートを支え飛躍させることを目的とする分野 |
家族心理学 | さまざまな家族が抱えている問題を研究する分野 |
芸術心理学 | 芸術作品や作品を生み出す芸術家など、芸術に関するありとあらゆるものを心理的に研究する分野 |
学校心理学 | 学校教育において子どもたちが抱える問題を研究しサポートする学問 |
交通心理学 | ドライバーや歩行者等の行動特性を研究し、事故やトラブル防止に活用するための分野 |
健康心理学 | 健康の維持や増進、疾病の予防や治療などに対し、心理学的に貢献できるよう研究する分野 |
環境心理学 | 環境が人の心理に及ぼす影響を研究する分野 |
動物心理学 | 人間の心理研究に役立てるために、動物の行動を研究する分野 |
性心理学 | 性行動を研究する分野 |
基礎心理学よりも、よりイメージしやすい身近な心理学が応用心理学だということが名称からも分かりますね。
ではここからは「応用心理学」の活用方法を、ジャンル別にご紹介していきます。
02心理学の活用方法 ①仕事
2-1ザイオンス効果
「ザイオンス効果」とは同じ人(モノ)に接する機会が多ければ多いほど、その人(モノ)に対して好感を抱くようになる心理現象です。
これは営業担当の方に有効な心理です。取引先に売り込みたい商品やサービスがある場合、何度もお伺いし好感度をあげることで、商談がスムーズに進みます。
これは電話やメールなどでも同じ効果を期待できます。
ただし最初から相手が自分に対して嫌悪感を抱いている場合は、会えば会うほど逆効果になるので注意が必要です。
2-2フット・イン・ザ・ドア・テクニック
「フット・イン・ザ・ドア・テクニック」とは交渉時に最初に「足をドアに入れる」つまり、最初に小さい要求から始めるテクニックです。
まず簡単な提案をして、そこから徐々に難しい提案へレベルを上げていきます。
相手は簡単な提案にYESと言った手前、もう少し大きな提案にNOと言ってしまったら一貫性がないと思われてしまうのではないかと感じます。
信用されるためにも難しい提案にもYESと言ってしまう心理をうまく活用するテクニックです。
2-3ドア・イン・ザ・フェイス・テクニック
「ドア・イン・ザ・フェイス・テクニック」とは、「フット・イン・ザ・ドア・テクニック」の逆の心理をついた交渉方法です。
「ドア・イン・ザ・フェイス・テクニック」では、初めに難しい要求から提示していきます。
徐々に要求の難易度を下げることで、相手は「借り」を作っているような気分になり、簡単な要求なら…と受け入れてくれるテクニックです。
03心理学の活用方法 ②子育て
心理学の知識があれば、少しは子どもの気持ちを理解し、うまく対応できるかもしれません。
3-1イーブン・ア・ペニー・テクニック
頼みごとをするとき、少しだけハードルを下げて依頼する方法が「イーブン・ア・ペニー・テクニック」です。
営業の担当者がよく使うテクニックですね。子育てでも効果を発揮します。
なかなか勉強を始めない、片付けをしてくれないといったときに、すべてをやるように言うのではなく「10問中3問だけ解いてみようか」や「3分間だけ片づけをしてみよう」といったように、要求の内容を簡単にして伝えてみます。
子どもに(それぐらいならやってもいいかな…)と思わせるテクニックです。
3-2ソリューション・フォーカスト・アプローチ
物事の原因を追究せずに、解決方法を考えるのが「ソリューション・フォーカスト・アプローチ」です。
たとえば子どもがおもちゃを壊してしまったとします。
その時に「なんで壊したの?」と原因を追求するのではなく、「壊さないためにどうやって遊べばいい?」と、聞くのです。
「なんで・なんで」と追及してばかりでは、子どもは口を閉ざし守りに入ってしまいます。
そうではなく親から問題を解決するための働きかけをしてあげるのです。ちゃんと問題解決の方法を答えられた時には、その答えを認めて褒めてあげるのも忘れずに。
3-3自己肯定感
「自己肯定感」、よく耳にするのではないでしょうか?これも立派な心理学です。
日本人は諸外国の方に比べ自己肯定感が低いと、たびたび問題になります。
あらためて自己肯定感とは自分のいいところも悪いところも、そのままの自分を認めてあげること。自分のことを好きでいるために必要な感情です。
子どもの自己肯定感を高めてあげるためにも、大人が「何か苦手なことや、できないことがあっても、あなたのことが大好き」だと伝えてあげましょう。それが子どもの自己肯定感を高める手助けになります。
04心理学の活用方法 ③恋愛
上手にテクニックを使えれば、相手の気持ちを振り向かせられるかもしれません。
4-1吊り橋効果
「吊り橋効果」は耳にしたことがあるという方も多いのではないでしょうか?あらためて確認しておきますと、吊り橋のように危険で恐怖を感じるような場所で出会った相手に恋愛感情を持ちやすい効果のことです。
吊り橋効果は、ドキドキするとそれが恋をしていると錯覚してしまうため効果的だと言われます。
実際に吊り橋を渡るのはなかなか難しいので、他にドキドキできるようなことをするのがいいでしょう。たとえば「一緒にスポーツをしたり、怖い映画を見たり、お化け屋敷に入る」といったことがおすすめです。
4-2好意の返報性
「好意の返報性」とは、好意を寄せてほしい相手に対して、まずは自分から好意を示すことで、相手も同じように好意を返したくなる性質のことです。
これは単純に告白するわけではなく、態度や雰囲気でそれとなく相手に伝えるようにすることがポイント。
また「好意の返報性」が成り立つのは、相手があなたのことをある程度知っていて、気持ちに余裕がある状態でなければなりません。すでに嫌われている相手では、かえって逆効果になってしまうので気をつけましょう。
4-3単純接触効果
最初はまったく興味がなかった相手でも、何度も接することで信頼し好感度が上がっていくという心理効果が「単純接触効果」です。
これは会う時間の長さというよりも、会う回数が重要とされています。何度も会うことで、相手の意識下に残るようになるのです。
ただし無理やり会おうとするのは逆効果。効果的にメリットがあるのは10回程度と言われています。
会うチャンスがなかなかない相手の場合は、LINEやメールなどでもOKです。
注意点は、相手があなたに対して抱いている印象がどの程度なのか、把握したうえで行うこと。単純接触効果は、相手があなたに対して好意を抱かないまでも、嫌な感情を抱いていないことが基本です。
05心理学の活用方法 ④人付き合い
最後は人付き合いをする上で役立つ心理学の活用法をご紹介します。
5-1初頭効果
人に対する印象や評価は、最初に会ったときに感じたイメージが、最も影響するというのが「初頭効果」です。つまりは第一印象が重要ということですね。
誰かに初めて会うときに身なりもしっかり整えて明るく振る舞った場合と、だらしない恰好でつまらなそうにしていた場合、当然前者の方が相手はよい印象を抱きます。
たとえ次に会ったときに少し印象がマイナスに感じたとしても、「本来は明るくしっかりした人で、今回はたまたまタイミングが悪かっただけ」と相手は思います。基本的に最初の印象の方が勝るのです。
そのため引越しのあいさつや、職場で移動があった場合など初対面の相手に対し有効です。
5-2バックトラッキング
人は自分を理解してくれる人に対し、安心感や信頼感をもちます。
特に相手が自分の話をしっかりと聞いて受け入れてくれている時に、理解してくれていると感じるのではないでしょうか?
聞き上手というのは、それだけで相手の心を開きます。上手にコミュニケーションを取るために必要なスキルなのです。
そこで利用したいのが「バックトラッキング」という方法です。バックトラッキングは、相手の言ったことをそのまま返す方法。
言葉を変えずにオウム返しするだけで、相手はあなたを好意的に感じてくれるようになります。
5-3ペーシング
「ペーシング」とは、相手の言葉やしぐさ、話のテンポに合わせることです。
これにより相手は、自分と似たようなタイプだと感じ、警戒心を解いて安心して心を開いてくれます。特に初対面の相手に効果的です。
あなたを重要な相手だと認識し、話をよく聞いてくれるようになります。
01心理学の基本的な分類と特徴
それぞれの分野が持つ特徴や研究対象、応用分野などを見ていきましょう。
1-1臨床心理学:心の健康と治療
臨床心理学は、心の健康や精神的な問題に焦点を当てた分野です。
この分野では、心理的な悩みや障害を抱える人々を理解し、支援することを目的としています。
臨床心理学者は、カウンセリングや心理療法を通じて、クライアントの心の問題に取り組みます。
うつ病、不安障害、パニック障害、摂食障害など、さまざまな精神的な問題に対して、適切な治療法や対処法を提案します。
また、心理アセスメントも臨床心理学の重要な役割の一つです。
心理テストや面接を通じて、個人の性格や能力、心理状態を評価し、適切な支援方法を見出します。
臨床心理学は、医療機関や学校、企業など、さまざまな場面で活用されています。
心の健康に関心がある人や、人々の心の悩みに寄り添いたい人にとって、魅力的な分野と言えるでしょう。
1-2発達心理学:人間の成長と変化
発達心理学は、人間の成長と変化のプロセスを研究する分野です。
誕生から老年期まで、生涯にわたる心理的な発達を探求します。
この分野では、各年齢段階における認知能力、言語能力、社会性、情動などの発達を研究します。
例えば、乳幼児期の愛着形成、児童期の学習能力の発達、青年期のアイデンティティ形成、成人期のキャリア発達、高齢期の認知機能の変化などが研究対象となります。
発達心理学の知見は、教育や子育て、高齢者支援など、様々な分野で応用されています。
子どもの成長に関心がある人や、生涯発達の視点から人間を理解したい人にとって、興味深い分野です。
1-3社会心理学:人間関係と集団行動
社会心理学は、人間の社会的行動や対人関係を研究する分野です。
個人が他者や集団からどのような影響を受けるか、また個人が他者や社会にどのような影響を与えるかを探求します。
この分野では、態度形成、説得、偏見、ステレオタイプ、集団行動、リーダーシップなど、扱うテーマは様々です。
例えば、なぜ人は同調行動をとるのか、どのようにして集団の意思決定が行われるのか、といった問題を研究します。
社会心理学の知見は、マーケティング、組織管理、メディア、政治など、様々な分野で応用されています。
人間関係や社会現象に興味がある人、集団の中での人間の行動を理解したい人にとって、魅力的な分野と言えるでしょう。
以上、心理学の3つの主要な分野について紹介しました。
これらの分野は互いに関連し合い、人間の心と行動の全体像を理解するための重要な視点です。
あなたの興味や目的に合った分野を見つけ、心理学の世界をさらに探求してみてはいかがでしょうか。
02実験的アプローチを重視する心理学の分野
これらの分野では、厳密に設計された実験や観察を通じて、心の仕組みや行動の原因を明らかにします。
代表的な3つの分野は、以下の通りです。
2-1認知心理学:思考と記憶のメカニズム
認知心理学は、人間の思考、記憶、学習、問題解決などの高次精神機能を研究する分野です。
この分野では、情報処理モデルを用いて、人間の心の働きを理解します。
例えば、私たちがどのように情報を記憶し、必要なときに思い出すのか、あるいは複雑な問題をどのように解決するのかといったことを研究します。
認知心理学者は、様々な実験手法を用いて研究を行うことが必要です。
例えば、記憶の実験では、参加者に一連の単語や画像を見せた後、どれだけ正確に思い出せるかをテストします。
また、問題解決の研究では、パズルやゲームを用いて、人々がどのような戦略を用いて問題に取り組むかを観察します。
これらの研究は、教育や人工知能の開発など、様々な分野に応用されています。
例えば、効果的な学習方法の開発や、より人間らしい思考ができるAIの設計などに活用されています。
2-2生理心理学:脳と行動の関係
生理心理学は、脳や神経系の働きと行動の関係を研究する分野です。
この分野では、生物学的なアプローチを用いて、心の働きを理解します。
例えば、特定の脳の部位がどのような機能を担っているのか、あるいはホルモンや神経伝達物質がどのように行動に影響を与えるのかといったことを研究します。
生理心理学者は、脳波計(EEG)やfMRI(機能的磁気共鳴画像法)などの先端技術を用いて、脳の活動を観察します。
また、動物実験を通じて、特定の脳の部位や神経回路の機能を調べることもあります。
これらの研究は、精神疾患の理解や治療法の開発に大きく貢献しています。
例えば、うつ病や不安障害の原因を脳の機能から解明し、より効果的な治療法の開発が可能です。
2-3実験心理学:科学的手法による心の解明
実験心理学は、厳密に統制された実験環境下で人間の行動を観察し、心の仕組みを解明する分野です。
この分野では、仮説を立て、それを検証するための実験を設計し、得られたデータを統計的に分析するという科学的な手法を用います。
実験心理学者は、様々な心理現象を研究対象とします。
例えば、知覚、注意、学習、記憶、動機づけ、感情など、扱うテーマは幅広いです。
実験では、反応時間の測定や、アイトラッキング(視線追跡)装置の使用、質問紙調査など、多様な手法を用います。
これらの研究成果は、基礎心理学の発展に寄与するだけでなく、応用心理学の分野にも大きな影響を与えています。
例えば、広告心理学や消費者行動学、人間工学などの分野で、実験心理学の知見が活用されています。
以上、実験的アプローチを重視する心理学の3つの主要な分野について解説しました。
これらの分野は互いに密接に関連しており、多くの研究者が複数の分野にまたがって研究を行っています。
あなたの興味や関心に合った分野を見つけ、心理学の奥深い世界を探求してみてはいかがでしょうか。
03応用分野における心理学の種類
ここでは、教育心理学、産業・組織心理学、スポーツ心理学という3つの応用分野について詳しく解説します。
3-1教育心理学:学習と教育の心理
教育心理学は、学習と教育に関する心理学的な研究を行う分野です。
この分野では、人がどのように学び、成長するかを理解し、効果的な教育方法を開発することを目指しています。
教育心理学者は、学習者の動機づけ、記憶、問題解決能力、創造性などを研究し、それらの知見を教育現場に応用します。
例えば、生徒の学習意欲を高める方法や、個々の学習スタイルに合わせた指導法の開発などです。
また、特別支援教育や生涯学習など、幅広い年齢層や多様なニーズに対応した教育のあり方についても研究が進められています。
教育心理学の知見は、学校教育だけでなく、企業研修や社会教育にも活用されており、人々の学びと成長を支える重要な役割を果たしています。
3-2産業・組織心理学:職場と組織の心理
産業・組織心理学は、職場や組織における人間の行動や心理を研究する分野です。
この分野では、従業員の満足度や生産性の向上、リーダーシップの育成、組織文化の形成など、ビジネスに関連する様々な心理学的テーマを扱います。
産業・組織心理学者は、職場のストレス管理、チームビルディング、人材選考、パフォーマンス評価などの課題に取り組みます。
例えば、従業員のモチベーションを高める方法や、効果的なコミュニケーション戦略の開発などです。
また、ワークライフバランスや多様性の推進など、現代の働き方に関する課題にも注目しています。
産業・組織心理学の知見は、企業の人事施策や組織開発に活用され、より健康的で生産的な職場環境の創出に貢献しています。
3-3スポーツ心理学:競技力向上と心理サポート
スポーツ心理学は、スポーツや運動に関連する心理的要因を研究する分野です。
この分野では、アスリートの競技力向上や一般の人々の運動習慣形成など、幅広いテーマを扱います。
スポーツ心理学者は、メンタルトレーニング、モチベーション管理、ストレス対策、チームワークの向上などに取り組みます。
例えば、試合前の不安を軽減する技法や、集中力を高めるためのイメージトレーニングなどの開発です。
また、怪我からの回復過程における心理的サポートや、引退後のキャリア支援なども重要な研究テーマです。
スポーツ心理学の知見は、プロスポーツ選手だけでなく、アマチュア選手や運動を始めたい一般の人々にも活用され、心身の健康増進に役立てられています。
04現代社会に対応する新しい心理学の分野
そのような中で、心理学も時代のニーズに応じて進化し、新しい分野が誕生しています。
ここでは、特に注目される3つの分野について解説します。
4-1ポジティブ心理学:幸福と well-being の追求
ポジティブ心理学は、人間の強みや美徳、幸福感に焦点を当てる比較的新しい心理学の分野です。
従来の心理学が主に心の病や問題に注目していたのに対し、ポジティブ心理学は人間の潜在能力や幸福感を最大限に引き出すことが目的です。
この分野では、感謝、楽観性、レジリエンス(回復力)などのポジティブな特性を研究し、それらを育成する方法を探求しています。
また、人生の意味や目的、充実感といった概念も重要なテーマです。
ポジティブ心理学の知見は、教育、ビジネス、健康管理など、様々な分野で応用されており、個人の幸福感向上だけでなく、社会全体の
well-being(良好な状態)の促進にも貢献しています。
4-2環境心理学:人間と環境の相互作用
環境心理学は、人間と環境との相互作用を研究する分野です。
ここでいう環境には、自然環境だけでなく、建築物や都市空間といった人工環境も含まれます。
この分野では、環境が人間の心理や行動にどのような影響を与えるか、また逆に人間の行動が環境にどのような影響を及ぼすかを研究しています。
例えば、オフィスの設計が従業員の生産性や創造性にどのように影響するか、都市の緑地が住民のストレス軽減にどのような効果があるかなどの調査です。
環境心理学の知見は、都市計画、建築設計、環境保護活動など、幅広い分野で活用されており、より快適で持続可能な環境づくりに貢献しています。
4-3サイバー心理学:デジタル時代の心理
サイバー心理学は、インターネットやデジタル技術が人間の心理や行動に与える影響を研究する新興分野です。
スマートフォンやソーシャルメディアが日常生活に深く浸透した現代社会において、この分野の重要性は急速に高まっています。
サイバー心理学では、オンラインコミュニケーションの特性、ソーシャルメディアの利用と精神健康の関係、オンラインゲームへの没頭メカニズム、サイバーいじめの心理など、多岐にわたるテーマを扱っています。
また、バーチャルリアリティ(VR)や人工知能(AI)といった最新技術が人間の心理に与える影響についても研究が進められています。
これらの新しい心理学の分野は、私たちの日常生活や社会の変化と密接に関わっています。
ポジティブ心理学は個人の幸福感を高め、環境心理学は快適な生活空間の創出に貢献し、サイバー心理学はデジタル社会での健全な生活を支援します。
これらの分野の知見を活用することで、現代社会が抱える様々な課題に対して、心理学的なアプローチから解決策を見出すことができるでしょう。
05心理学の専門的アプローチ
これらの分野は、心理学の歴史の中で大きな影響を与え、現代の心理学の基礎となっています。
5-1精神分析学:無意識と心の深層
精神分析学は、20世紀初頭にジークムント・フロイトによって創始された心理学の一分野です。
この理論は、人間の心の奥底にある無意識の働きに焦点を当てています。
フロイトは、人間の心を氷山に例えました。水面上に見える部分が意識であり、水面下に隠れている大部分が無意識です。
精神分析学では、この無意識の領域が人間の行動や思考に大きな影響を与えていると考えます。
精神分析学の主な特徴は以下の通りです。
1. 無意識の重要性
人間の行動や思考の多くは、無意識的な動機や欲求によって影響を受けているとします。
2. 幼少期の経験の影響
幼児期の経験が成人後の性格形成や行動パターンに大きな影響を与えると考えます。
3. 防衛機制
不安や葛藤から自己を守るために、無意識的に働く心理的メカニズムを解明しようとします。
4. 自由連想法
患者の自由な発言を通じて、無意識の内容を探る治療技法を用います。
精神分析学は、心の深層を理解し、心理的な問題の根源を探ることに役立ちます。
しかし、科学的な検証が難しい面もあり、現代では他のアプローチと組み合わせて用いられることが多いです。
5-2行動主義心理学:観察可能な行動の分析
行動主義心理学は、20世紀前半にジョン・B・ワトソンによって提唱され、後にB・F・スキナーによって発展させられました。
この理論は、観察可能な行動に焦点を当て、内的な心理過程よりも外的な刺激と反応の関係を重視します。
行動主義心理学の主な特徴は以下の通りです。
1. 客観的観察
主観的な報告ではなく、客観的に観察可能な行動のみを研究対象とします。
2. 環境の重要性
行動は環境からの刺激と、その結果生じる反応の産物であると考えます。
3. 学習理論
古典的条件づけやオペラント条件づけなど、行動の学習メカニズムを解明しようとします。
4. 行動療法
望ましくない行動を修正し、適応的な行動を学習させる治療法を開発しました。
行動主義心理学は、科学的な厳密さを重視し、多くの実験的研究を生み出しました。
この理論は、教育や臨床心理学の分野で広く応用されています。
例えば、行動療法は不安障害や恐怖症の治療に効果を上げています。
5-3人間性心理学:自己実現と成長
人間性心理学は、1950年代から1960年代にかけて、アブラハム・マズローやカール・ロジャーズらによって提唱されました。
この理論は、人間の潜在能力や自己実現の過程に焦点を当てています。
人間性心理学の主な特徴は以下の通りです。
1. 全人的アプローチ
人間を全体として捉え、個人の主観的経験を重視します。
2. 自己実現の概念
人間には生まれながらに自己実現への傾向があると考えます。
3. 自由意志と選択
人間には自由意志があり、自らの人生を選択する能力があるとします。
4. クライアント中心療法
カウンセリングにおいて、クライアントの自己成長を促進する環境を作ることを重視します。
人間性心理学は、個人の成長と潜在能力の開発に焦点を当てているため、教育やカウンセリングの分野で広く応用されています。
この理論は、人間の肯定的な側面を強調し、個人の自己理解と自己受容を促進する目的です。
以上、心理学の主要な3つのアプローチについて解説しました。
これらの理論は、それぞれ異なる視点から人間の心と行動を理解しようとしています。
現代の心理学では、これらのアプローチを統合的に用いることで、より包括的な人間理解を目指しています。
あなたの興味や目的に合わせて、これらの分野をさらに深く探求してみてはいかがでしょうか。
06自分に合う心理学の分野の見つけ方
ここでは、興味関心に基づく選択、キャリアゴールとの関連性、そして実践と理論のバランスという3つの観点から、あなたに合った心理学の分野を見つける方法を紹介します。
6-1興味関心に基づく選択
まず最初に考えるべきなのは、あなた自身の興味や関心です。
心理学のどの側面に最も惹かれるでしょうか?
例えば、人間の発達過程に興味がある場合は発達心理学、人々の行動パターンを理解したい場合は行動心理学、脳の仕組みと心の関係を探求したい場合は神経心理学などが適しているかもしれません。
自分の興味を深く掘り下げ、それに合致する分野を探すことが重要です。
また、日常生活や過去の経験から生まれた疑問や課題意識も、分野選択の重要な手がかりとなります。
例えば、人間関係の改善に関心がある場合は社会心理学や対人関係心理学、メンタルヘルスの問題に取り組みたい場合は臨床心理学や健康心理学などが候補として挙げられるでしょう。
6-2キャリアゴールとの関連性
次に考慮すべきは、あなたのキャリアゴールとの関連性です。
心理学の知識をどのように活用したいのか、将来どのような職業に就きたいのかを考えることで、適切な分野が見えてくるかもしれません。
例えば、カウンセラーや心理療法士を目指すなら臨床心理学、教育現場で働きたいなら教育心理学、企業でのキャリア支援に興味があれば産業・組織心理学などが適しているでしょう。
また、研究者としてのキャリアを考えている場合は、より専門的な分野や最新のトピックに注目することも大切です。
例えば、認知心理学や実験心理学などの基礎研究分野、あるいは環境心理学やポジティブ心理学といった比較的新しい分野などが候補として挙げられます。
6-3実践と理論のバランス
最後に考慮すべきは、実践と理論のバランスです。
心理学の中には、理論的な研究に重点を置く分野もあれば、実践的なスキルの習得に焦点を当てる分野もあります。
あなたが理論的な探求を好むのか、それとも実践的な応用を重視するのかを考えることで、適切な分野を選択できるでしょう。
例えば、実験心理学や認知心理学は理論的な側面が強い一方で、カウンセリング心理学や臨床心理学は実践的なスキルの習得が重要になります。
また、社会心理学や産業・組織心理学のように、理論と実践の両方をバランスよく学べる分野もあります。
自分の学習スタイルや将来の目標に合わせて、適切なバランスの分野を選ぶことが大切です。
06日常に役立つおすすめ心理資格
ちょっと面白そう…と感じた方は、心理資格を取得するとより楽しめますよ。
ここからは、日常に役に立ち、かつ比較的取得しやすい心理資格を4つご紹介します。
すべての資格は「諒設計アーキテクトラーニング」の通信教育で学べる資格です。1日30分の勉強を、およそ6ヶ月続けることで資格取得のための知識が身につきます。
6-1メンタル士心理カウンセラー®
「メンタル士心理カウンセラー®」は、日本メディカル心理セラピー協会(JAAMP)が主催する心理資格です。
心理学の基礎を学び、ストレスやそれ自体が要因となるさまざまな症状、治療法を学べます。日常で役立つだけでなく、資格取得後はカウンセラーとして活動できます。
受験資格 | 特になし |
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受験日 | 年6回 |
受験料 | 10,000円(税込) |
受験方法 | 在宅受験 |
合格基準 | 正答率70%以上 |
6-2子供心理カウンセラー
子育て中または妊娠中の方は日本インストラクター技術協会(JIA)主催の「子ども心理カウンセラー」がおすすめです。
生まれたての乳児期から幼児・学童・思春期と成長に合った関わり方を学べます。
資格取得後はカルチャースクールの講師や、親子教室などで働くことも可能です。
受験資格 | 特になし |
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受験日 | 年6回 |
受験料 | 10,000円(税込) |
受験方法 | 在宅受験 |
合格基準 | 正答率70%以上 |
6-3家族心理カウンセラー
カップルや夫婦、家族の問題について知識を身につけられるのが、日本生活環境支援協会(JLESA)主催の「家族心理カウンセラー」です。
結婚や妊娠、子育てなど目まぐるしく変わる家族の形を理解し、個々の問題に対して適切にアドバイスできるようになります。
資格取得後は心理カウンセラーや講師として活躍できます。
受験資格 | 特になし |
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受験日 | 年6回 |
受験料 | 10,000円(税込) |
受験方法 | 在宅受験 |
合格基準 | 正答率70%以上 |
6-4行動心理カウンセラー
ご紹介した「吊り橋効果」などの、行動心理学の基礎を学べるのが日本メディカル心理セラピー協会(JAAMP)主催の「行動心理カウンセラー」です。
仕事や日常に役立つ心理的知識が身につきます。
受験資格 | 特になし |
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受験日 | 年6回 |
受験料 | 10,000円(税込) |
受験方法 | 在宅受験 |
合格基準 | 正答率70%以上 |
07まとめ
臨床心理学、発達心理学、社会心理学といった基本的な分野から、認知心理学や生理心理学などの実験的アプローチを重視する分野、さらには教育心理学やスポーツ心理学といった応用分野まで幅広く紹介しました。
また、ポジティブ心理学やサイバー心理学など、現代社会のニーズに応える新しい分野についても解説してきました。
当記事が、心理学の多様性と奥深さを理解し、自分に最適な分野を探求する手がかりとなりましたら幸いです。
この講座は!プロの監修を受けています!
1992年生まれ。静岡市出身。精神科クリニック勤務と学校のスクールカウンセラーを兼任しており、普段はカウンセリングや知能検査を実施している。
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