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どうすれば上手くいく?音楽療法のやり方やプログラム例について

音楽の力を活用して心や身体の不調を癒す音楽療法。取り入れてみたいけれどどうやっていいのか分からないという方も多いかもしれません。今回は音楽療法の具体的なやり方や、プログラムの例などについてご紹介します。

どうすれば上手くいく?音楽療法のやり方やプログラム例について
目次

01音楽療法のやり方

音楽療法の具体的なやり方や、プログラムの例などについてご紹介します。

1-1音楽療法はクライアントに合わせたセッションを行うことが必要。

音楽療法の中心となるのは、実際に療法を行う「セッション」と呼ばれる部分です。
このセッションは、クライアントの状態や心理状況に合わせて行うことが必要です。
クライアントの心身の状態は毎日変化しているもの。音楽療法に対してあまり興味がない場合や、やりたくないと感じることも珍しくありません。
そういった場合には無理に行わず、しっかりと状況を確認していくことが重要です。

1-2クライアントの健康状態や課題などを主治医などからヒアリングし目標を立てプログラムを考える。

クライアントの状況を確認する場合には、自分だけでなく、家族や学校の先生、主治医など、できるだけ多くの人からヒアリングをすることが求められます。
多くの人からの意見を聞くことで、客観的な判断を下すことができます。
また、音楽療法を行ううえで重要になるのが「目的」です。
目的には、ストレスの軽減や不安を和らげる、コミュニケーションを促進するなど様々なものがあります。音楽療法を行うときにはまず目的の設定を行い、その上でプログラムを考えていきましょう。

1-3評価表を作成し実施記録の記入や評価を行い、改善点を確認する。

音楽療法はプログラムを行えば終わりというわけではありません。プログラムを終えたあとは、「評価表」を作成、どのようなプログラムを行ったのか、どの程度目標を達成できたか、心身や感覚にはどのような変化があったのかなどの評価を記入します。
その際、反省点や改善点などを確認しておくと、次回以降のプログラムに反映することができます。

02音楽療法のプログラム例と選曲方法

それでは、音楽療法のプログラムや選曲はどのように行えばよいのでしょうか。

2-1プログラムは起承転結を意識する。

プログラム作りで重要になるのが「起承転結」の流れを作ることです。起承転結を考えてプログラムを作ることで、参加者に適度な刺激を与えるだけでなく、次回の参加への意欲を高めることができます。

2-2子どものプログラム例

子ども向けのプログラムを考えるときにも、どのような目的なのか、どのような対象なのかということを最初に考えるとよいでしょう。
一般的には、子どもは身体を動かすことを好みます。また、身体を動かすことが自己表現になります。
そのためにも重要なのがウォーミングアップ。季節に合わせた音楽などを使い、しっかりとウォーミングアップを行いましょう。
また、子どもの音楽療法では楽器や即興曲で自分を表現することも効果的。鍵盤楽器などは難しくても、打楽器などであれば簡単に音で自分の感情を表現することができます。
即興曲を取り入れることが難しいと感じる場合には、事前にいくつかのパターンを考えて、それに沿ってプログラムを行っていくのがよいでしょう。
なお、プログラムは子どもの障害や体力に合わせたものを用意し、様子を見ながら進めていきましょう。子どもは集中力が切れやすいことも多いため、ある程度テンポよく進めていくことが重要です。

2-3大人のプログラム例

大人向けのプログラムの場合には、参加の意欲を高めることと、社会性やコミュニケーションの向上を図ることが重要になります。
そのため、まずはスタートを印象付ける挨拶が重要。さらに、しっかり声を出させて発声させることで、参加者の緊張を解くなどの工夫が必要となります。
逆に参加意欲が盛り上がりすぎた場合、ある程度の待ち時間や休憩時間を取り入れるのも効果があります。

2-4高齢者のプログラム例

高齢者を対象にしたプログラムの場合には、まず参加者の状態に注意しましょう。高齢者施設やデイサービスなどでは、様々な状態の方がいらっしゃいます。
ケアが必要な人や、まったくケアが不要な人、認知症の人、後遺症などを持っている人など、状況は様々。同じ認知症の人でも、症状には違いがあります。
まずはそれらの状況をしっかり確認しましょう。
選曲やプログラムの内容も、参加者の状態や年齢に合わせることが必要。仮に比較的若い方が参加している場合では歌謡曲、逆に高齢の方が多い場合には唱歌や童謡など知っている人が多い曲などを選ぶとよいでしょう。
ただし、あまり簡単な歌ばかり用意しておくとプログラムが単調になってしまうことも。
それを避けるためにも、知っているけれど歌えないものや、聞いたことがあるけれど歌ったことがないもの、やや難易度の高いものと簡単な歌、誰でも楽しめる曲を組み合わせるものなど、全体のメリハリに注意するとよいでしょう。
 特に高齢者向けのプログラムで重要なのが、参加している人に子ども扱いされていると思わせないこと。お遊戯会のようになってしまうと、高齢者の方はプライドが傷ついたと感じてしまい、参加の意欲が低下、やる気を失ってしまいます。
大切なのは、相手をきちんと大人扱いすることです。
また、実際にプログラムを行うときには、ケアスタッフの協力も不可欠。接する回数が多いケアスタッフの方は高齢者の状況やその日の体調にも敏感なので、あらかじめどのようなプログラムを行うのか、どんなサポートが必要になりそうかなどを伝えておくのがよいでしょう。

2-5その他のプログラム例

プログラムに用いる曲には、季節の歌などを使うのが効果的です。たとえば一月なら「お正月」、二月なら「豆まき」、三月なら「ひなまつり」など、季節の行事に関する歌や、雪、桜、花火、落ち葉といった、季節の景色を連想させる音楽を使うと、誰でも参加しやすくなるだけでなく、今が何月なのか、自分がどこにいるのかなどを確認することもできます。
これらの曲はリズムも一定なので、身体の動きと組み合わせるときにも便利です。特に演歌などには難易度は高いものの、季節感の強い歌が多いため、プログラムのアクセントとして取り入れることもできます。
もし参加する人の意欲を高めたいという場合には、手作り楽器を取り入れるというのも良い方法です。
手作り楽器は、レクリエーションの一環にもなり、コミュニケーションの向上させることにも役立ちます。
特にマラカスや鈴などは簡単に作れることに加えて、身体が不自由な人でも音を出しやすいというのが大きなメリットです。
もし手作り楽器を作るときには、太さの握りやすいサイズの棒を用意したり、マジックテープで手に固定できるように工夫すると、高齢者の方にも使いやすくなります。
一方、認知症の方が多い場合には回想法を取り入れた選曲がよいでしょう。
回想法とは心理療法の一種で、昔のことを思い出すことで生きる力を引き出すケアの方法。一般的には家族の写真や思い出の品などが利用されますが、若いころに聞いた音楽などでも同様の効果を得ることができます。
昔懐かしい曲や子どもの頃に流行した曲などを聞くことで、元気なころを思い出し、自信や希望を取り戻す効果があると言われています。

03まとめ

音楽療法は工夫次第で様々なプログラムを作ることができるもの。そのためにも音楽を始め、医療や心理など専門的な知識が必要になります。もし音楽療法に興味が出てきたという方は、ぜひくわしい知識を学んでみてはいかがでしょうか。

この講座は!プロの監修を受けています!

講座のテキスト、問題集や添削課題と共に、プロの先生によって監修されています。
川島光将
川島光将 先生
指揮者・作曲家・編曲家
1980年代生まれ。東海地方出身。音楽教員として中学高等学校で勤務。現在は指揮者・作曲家・編曲家として活動。また障がい児への音楽療法に携わる。
川島光将

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