知っておけば役に立つ!水耕栽培におけるEC値・PHについて
趣味として水耕栽培を始めている方の中には、もっと植物を元気に育てたいと思っている人も多いかもしれません。水耕栽培で元気な植物を育てるためには「EC値」「PH」というものが重要になります。今回は水耕栽培におけるEC値とPHについて解説します。
01水耕栽培におけるEC・PHの重要性
水耕栽培で植物を元気に育てるためには、日照時間や温度、換気など様々な条件が関係しています。その中でも、EC値やPHは特に重要です。
EC値やPHとは、培養液の状況を表す数値。培養液とは、液体肥料を溶かした水のことで、土を使わない水耕栽培ではすべての栄養が培養液の中に含まれています。
そのため、水耕栽培では培養液がどのような状況になっているのかということが生育に大きな影響を与えます。
もし培養液のコンディションが整っていれば、植物はすくすくと元気に育ち、しっかりした実をつけますが、逆に培養液内の環境が崩れている場合には、生育が悪くなり、最悪の場合枯れてしまうこともあります。
そのため、EC値やPHを通じて培養液がどのような状況なのか常にチェックすることは非常に重要。このEC値やPHは、PHメーター、ECメーターなどの測定装置で測ることができます。もしEC値とPHのバランスが崩れてしまったという場合、培養液を調整するか、すべて交換して対処することが必要になります。
02EC値とは?
それでは、水耕栽培で重要なEC値とはどのような数値なのでしょうか。
EC値とは、肥料の濃度のこと。水耕栽培では、液体肥料を水に溶かして植物の栄養源に使用します。つまり、どの程度の肥料を水に溶かすかでEC値が変化します。
2-1肥料が多いからよいわけではない。
水耕栽培を始めたばかりの方は、肥料はたくさんあげればそれだけ植物が成長すると考えている方も多いかもしれません。
しかし実際には、肥料が多すぎるからといって、必ずしも植物がよく育つとは限りません。水耕栽培は土を使わず、水だけで植物を育てる方法ですが、肥料が多くなってしまうと、植物の根は水も肥料も吸い込めなくなり、成長がストップしてしまいます。
もちろん肥料が少ない場合も十分な栄養がいきわたらなくなり、植物は成長できません。
さらに水耕栽培は、土を使わないため、根が伸びやすいのが特徴。土を使った栽培の場合には、植物が根を伸ばそうとしても、土が邪魔になり思うように根を伸ばすことができません。しかし水耕栽培の場合には、邪魔になる土がないため、植物は根を長く伸ばし、そこから見ずと栄養を取り入れることができます。そのため、水耕栽培は土で育てる場合に比べると、植物はのびのびと成長し、生育の速度も速くなります。
肥料の濃度が濃すぎる場合、植物の生育の速度も遅くなってしまい、水耕栽培の良さがなくなってしまいます。
2-2各植物に好むEC値がある
このように、肥料の与えすぎも不足も植物にとっては望ましくない状況。一般的には、植物にとっての最適なEC値は0.5~3.0の範囲が適していると言われています。
もし適正な値を保てない場合、植物は上手く育つことができず、水が吸い上げられないという場合には枯れてしまうこともあります。
ただし、すべての植物が同じEC値でよいというわけではありません。植物の種類によって、生育に適したEC値は異なります。
また、種から芽を出すときや収穫の時期には、通常よりも多くの栄養が必要なもの。
このように、植物や生育の状況によって適正なEC値は変動するため、大きな実をつけたいときや、元気に植物を育てたいときには、メーターなどによってこまめにEC値をチェックすることが重要となります。
2-3液体肥料を正しく希釈して使用することが大切
さらに適正なEC値を保つためには、いくつかのポイントがあります。
まずもっとも重要になるのが、液体肥料を正しく希釈して使用すること。水耕栽培の培養液は植物が成長するにつれて水も肥料も減少します。そのときには、再び水で薄めた液体肥料を加えることになりますが、そのときにも同じように、正しく希釈して培養液を加えなければ、EC値は変動してしまいます。
さらに注意したいのが夏場の時期。夏場には、植物は肥料よりも水を多く吸収します。これは植物が温度調節に水を利用しているから。植物は夏の暑い季節などには、葉から水分を蒸散させて温度を低下させています。
しかしこのとき、培養液の中では水分が低下するため、肥料の濃度が上昇、EC値のバランスが崩れた状態。そのため、同じように希釈した培養液を加えても、EC値は高いままになってしまいます。
また、夏場の陽当たりのよい場所で水耕栽培を行っている場合、培養液が蒸発、肥料が濃縮されてしまうこともあります。
このように、培養液のEC値は気候の変化にも影響されやすいものなので、常にメーターなどで計測することがおすすめです。
03PHと植物の関係
EC値と同様に植物の成長にはPHが重要です。では、このPHとはどのようなものなのでしょうか。
3-1PHは植物の成長に影響を与える
PHとは簡単に言えば、水溶液や土などの性質を表す単位の一種。たとえば水溶液は、酸性、中性、アルカリ性の三つに分類されます。さらに酸性とアルカリ性は、それぞれの強さによってさらに細かく分類が行われます。そして中性とは、酸性とアルカリ性の中間の状態。
この中性をPH7として、酸性の度合いが強ければ強いほど0に近づき、逆に数値が多ければ多いほどアルカリ性が強くなります。
水耕栽培の場合のPHとは、培養液の状態が酸性とアルカリ性のどちらに傾いているかということ。
この培養液の状態は、植物の成長に大きな影響を与えます。
3-2各植物に好むPHがある
それでは、水耕栽培で植物を育てる場合には、酸性とアルカリ性のどちらがよいのでしょうか。
実は植物は、酸性を好むものとアルカリ性を好むものなど、植物によって好みがあります。これは植物が育つ環境に関係があります。
植物は動物のように自分の足で移動することができません。そのため、土地の土や水のPHに合わせてもっとも効率的に成長できるように進化、その結果、植物それぞれのPHの好みが生まれました。
もし土で栽培する場合には、酸性を好む植物、アルカリ性を好む植物に合わせて、石灰やマグネシウム、カリなどを土に加えて土のPHを調整する必要があります。
水耕栽培の場合にも、水のPHをチェックして、植物が好む状態に調整することが重要です。
3-3適正値でない場合の影響
それではPHが適正地でない場合には、どのような影響が生まれるのでしょうか。
まず、PHがアルカリ性に傾いた場合、植物が肥料の成分を吸収しにくくなります。その場合、植物が黄色っぽくなるという症状が現れることもあるため、変色が起きた場合には、培養液のPHバランスが変化している可能性があります。
また、PHが変化すると、それに対応できずに根が変色、抜け落ちることがあります。また目に見える変化がなくても根が傷んでいることがあるため、植物の成長が遅くなってしまいます。もしきちんと水分と肥料を与えてるのに成長が遅いという場合には、PHの変化が影響を与えているかもしれません。
PHの変化には、植物が排出する老廃物と、培養液の成分が関係していることもあるため、異常が出た場合には培養液をすべて取り換えてみるという方法もあります。
04まとめ
初心者にはちょっと難しいと感じるEC値やPHですが、知識を身につけておくと水耕栽培では非常に役立ちます。もっと水耕栽培を楽しみたいという方はさらにくわしい知識を身につけてみてはいかがでしょうか。
この講座は!プロの監修を受けています!
講座のテキスト、問題集や添削課題と共に、プロの先生によって監修されています。
やまさん 先生
NHKテレビ番組「所さん大変ですよ」に出演。
1987年生まれ。栃木県出身。山形大学にて化学学士及び横浜市立大学にて生物修士を取得。
卒業後、大手メーカーの研究開発業務を約10年間経験。
学生時代の生物、化学の知識及びメーカーでの研究開発経験を活かし、水耕栽培を行っています。DFT/NFT水耕栽培装置を試作し、これまでに約50種類程度の野菜の水耕栽培に
成功。NHKテレビ番組「所さん大変ですよ」に出演。
70,000人以上が受講申し込みしている諒設計アーキテクトラーニングの通信講座
あなたも早速受講して、資格を取得しましょう!
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EC値やPHとは、培養液の状況を表す数値。培養液とは、液体肥料を溶かした水のことで、土を使わない水耕栽培ではすべての栄養が培養液の中に含まれています。
そのため、水耕栽培では培養液がどのような状況になっているのかということが生育に大きな影響を与えます。
もし培養液のコンディションが整っていれば、植物はすくすくと元気に育ち、しっかりした実をつけますが、逆に培養液内の環境が崩れている場合には、生育が悪くなり、最悪の場合枯れてしまうこともあります。
そのため、EC値やPHを通じて培養液がどのような状況なのか常にチェックすることは非常に重要。このEC値やPHは、PHメーター、ECメーターなどの測定装置で測ることができます。もしEC値とPHのバランスが崩れてしまったという場合、培養液を調整するか、すべて交換して対処することが必要になります。
02EC値とは?
それでは、水耕栽培で重要なEC値とはどのような数値なのでしょうか。
EC値とは、肥料の濃度のこと。水耕栽培では、液体肥料を水に溶かして植物の栄養源に使用します。つまり、どの程度の肥料を水に溶かすかでEC値が変化します。
2-1肥料が多いからよいわけではない。
水耕栽培を始めたばかりの方は、肥料はたくさんあげればそれだけ植物が成長すると考えている方も多いかもしれません。
しかし実際には、肥料が多すぎるからといって、必ずしも植物がよく育つとは限りません。水耕栽培は土を使わず、水だけで植物を育てる方法ですが、肥料が多くなってしまうと、植物の根は水も肥料も吸い込めなくなり、成長がストップしてしまいます。
もちろん肥料が少ない場合も十分な栄養がいきわたらなくなり、植物は成長できません。
さらに水耕栽培は、土を使わないため、根が伸びやすいのが特徴。土を使った栽培の場合には、植物が根を伸ばそうとしても、土が邪魔になり思うように根を伸ばすことができません。しかし水耕栽培の場合には、邪魔になる土がないため、植物は根を長く伸ばし、そこから見ずと栄養を取り入れることができます。そのため、水耕栽培は土で育てる場合に比べると、植物はのびのびと成長し、生育の速度も速くなります。
肥料の濃度が濃すぎる場合、植物の生育の速度も遅くなってしまい、水耕栽培の良さがなくなってしまいます。
2-2各植物に好むEC値がある
このように、肥料の与えすぎも不足も植物にとっては望ましくない状況。一般的には、植物にとっての最適なEC値は0.5~3.0の範囲が適していると言われています。
もし適正な値を保てない場合、植物は上手く育つことができず、水が吸い上げられないという場合には枯れてしまうこともあります。
ただし、すべての植物が同じEC値でよいというわけではありません。植物の種類によって、生育に適したEC値は異なります。
また、種から芽を出すときや収穫の時期には、通常よりも多くの栄養が必要なもの。
このように、植物や生育の状況によって適正なEC値は変動するため、大きな実をつけたいときや、元気に植物を育てたいときには、メーターなどによってこまめにEC値をチェックすることが重要となります。
2-3液体肥料を正しく希釈して使用することが大切
さらに適正なEC値を保つためには、いくつかのポイントがあります。
まずもっとも重要になるのが、液体肥料を正しく希釈して使用すること。水耕栽培の培養液は植物が成長するにつれて水も肥料も減少します。そのときには、再び水で薄めた液体肥料を加えることになりますが、そのときにも同じように、正しく希釈して培養液を加えなければ、EC値は変動してしまいます。
さらに注意したいのが夏場の時期。夏場には、植物は肥料よりも水を多く吸収します。これは植物が温度調節に水を利用しているから。植物は夏の暑い季節などには、葉から水分を蒸散させて温度を低下させています。
しかしこのとき、培養液の中では水分が低下するため、肥料の濃度が上昇、EC値のバランスが崩れた状態。そのため、同じように希釈した培養液を加えても、EC値は高いままになってしまいます。
また、夏場の陽当たりのよい場所で水耕栽培を行っている場合、培養液が蒸発、肥料が濃縮されてしまうこともあります。
このように、培養液のEC値は気候の変化にも影響されやすいものなので、常にメーターなどで計測することがおすすめです。
03PHと植物の関係
EC値と同様に植物の成長にはPHが重要です。では、このPHとはどのようなものなのでしょうか。
3-1PHは植物の成長に影響を与える
PHとは簡単に言えば、水溶液や土などの性質を表す単位の一種。たとえば水溶液は、酸性、中性、アルカリ性の三つに分類されます。さらに酸性とアルカリ性は、それぞれの強さによってさらに細かく分類が行われます。そして中性とは、酸性とアルカリ性の中間の状態。
この中性をPH7として、酸性の度合いが強ければ強いほど0に近づき、逆に数値が多ければ多いほどアルカリ性が強くなります。
水耕栽培の場合のPHとは、培養液の状態が酸性とアルカリ性のどちらに傾いているかということ。
この培養液の状態は、植物の成長に大きな影響を与えます。
3-2各植物に好むPHがある
それでは、水耕栽培で植物を育てる場合には、酸性とアルカリ性のどちらがよいのでしょうか。
実は植物は、酸性を好むものとアルカリ性を好むものなど、植物によって好みがあります。これは植物が育つ環境に関係があります。
植物は動物のように自分の足で移動することができません。そのため、土地の土や水のPHに合わせてもっとも効率的に成長できるように進化、その結果、植物それぞれのPHの好みが生まれました。
もし土で栽培する場合には、酸性を好む植物、アルカリ性を好む植物に合わせて、石灰やマグネシウム、カリなどを土に加えて土のPHを調整する必要があります。
水耕栽培の場合にも、水のPHをチェックして、植物が好む状態に調整することが重要です。
3-3適正値でない場合の影響
それではPHが適正地でない場合には、どのような影響が生まれるのでしょうか。
まず、PHがアルカリ性に傾いた場合、植物が肥料の成分を吸収しにくくなります。その場合、植物が黄色っぽくなるという症状が現れることもあるため、変色が起きた場合には、培養液のPHバランスが変化している可能性があります。
また、PHが変化すると、それに対応できずに根が変色、抜け落ちることがあります。また目に見える変化がなくても根が傷んでいることがあるため、植物の成長が遅くなってしまいます。もしきちんと水分と肥料を与えてるのに成長が遅いという場合には、PHの変化が影響を与えているかもしれません。
PHの変化には、植物が排出する老廃物と、培養液の成分が関係していることもあるため、異常が出た場合には培養液をすべて取り換えてみるという方法もあります。
04まとめ
初心者にはちょっと難しいと感じるEC値やPHですが、知識を身につけておくと水耕栽培では非常に役立ちます。もっと水耕栽培を楽しみたいという方はさらにくわしい知識を身につけてみてはいかがでしょうか。
この講座は!プロの監修を受けています!
講座のテキスト、問題集や添削課題と共に、プロの先生によって監修されています。
やまさん 先生
NHKテレビ番組「所さん大変ですよ」に出演。
1987年生まれ。栃木県出身。山形大学にて化学学士及び横浜市立大学にて生物修士を取得。
卒業後、大手メーカーの研究開発業務を約10年間経験。
学生時代の生物、化学の知識及びメーカーでの研究開発経験を活かし、水耕栽培を行っています。DFT/NFT水耕栽培装置を試作し、これまでに約50種類程度の野菜の水耕栽培に
成功。NHKテレビ番組「所さん大変ですよ」に出演。
70,000人以上が受講申し込みしている諒設計アーキテクトラーニングの通信講座
あなたも早速受講して、資格を取得しましょう!
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2-1肥料が多いからよいわけではない。
水耕栽培を始めたばかりの方は、肥料はたくさんあげればそれだけ植物が成長すると考えている方も多いかもしれません。
しかし実際には、肥料が多すぎるからといって、必ずしも植物がよく育つとは限りません。水耕栽培は土を使わず、水だけで植物を育てる方法ですが、肥料が多くなってしまうと、植物の根は水も肥料も吸い込めなくなり、成長がストップしてしまいます。
もちろん肥料が少ない場合も十分な栄養がいきわたらなくなり、植物は成長できません。
さらに水耕栽培は、土を使わないため、根が伸びやすいのが特徴。土を使った栽培の場合には、植物が根を伸ばそうとしても、土が邪魔になり思うように根を伸ばすことができません。しかし水耕栽培の場合には、邪魔になる土がないため、植物は根を長く伸ばし、そこから見ずと栄養を取り入れることができます。そのため、水耕栽培は土で育てる場合に比べると、植物はのびのびと成長し、生育の速度も速くなります。
肥料の濃度が濃すぎる場合、植物の生育の速度も遅くなってしまい、水耕栽培の良さがなくなってしまいます。
2-2各植物に好むEC値がある
このように、肥料の与えすぎも不足も植物にとっては望ましくない状況。一般的には、植物にとっての最適なEC値は0.5~3.0の範囲が適していると言われています。
もし適正な値を保てない場合、植物は上手く育つことができず、水が吸い上げられないという場合には枯れてしまうこともあります。
ただし、すべての植物が同じEC値でよいというわけではありません。植物の種類によって、生育に適したEC値は異なります。
また、種から芽を出すときや収穫の時期には、通常よりも多くの栄養が必要なもの。
このように、植物や生育の状況によって適正なEC値は変動するため、大きな実をつけたいときや、元気に植物を育てたいときには、メーターなどによってこまめにEC値をチェックすることが重要となります。
2-3液体肥料を正しく希釈して使用することが大切
さらに適正なEC値を保つためには、いくつかのポイントがあります。
まずもっとも重要になるのが、液体肥料を正しく希釈して使用すること。水耕栽培の培養液は植物が成長するにつれて水も肥料も減少します。そのときには、再び水で薄めた液体肥料を加えることになりますが、そのときにも同じように、正しく希釈して培養液を加えなければ、EC値は変動してしまいます。
さらに注意したいのが夏場の時期。夏場には、植物は肥料よりも水を多く吸収します。これは植物が温度調節に水を利用しているから。植物は夏の暑い季節などには、葉から水分を蒸散させて温度を低下させています。
しかしこのとき、培養液の中では水分が低下するため、肥料の濃度が上昇、EC値のバランスが崩れた状態。そのため、同じように希釈した培養液を加えても、EC値は高いままになってしまいます。
また、夏場の陽当たりのよい場所で水耕栽培を行っている場合、培養液が蒸発、肥料が濃縮されてしまうこともあります。
このように、培養液のEC値は気候の変化にも影響されやすいものなので、常にメーターなどで計測することがおすすめです。
03PHと植物の関係
EC値と同様に植物の成長にはPHが重要です。では、このPHとはどのようなものなのでしょうか。
3-1PHは植物の成長に影響を与える
PHとは簡単に言えば、水溶液や土などの性質を表す単位の一種。たとえば水溶液は、酸性、中性、アルカリ性の三つに分類されます。さらに酸性とアルカリ性は、それぞれの強さによってさらに細かく分類が行われます。そして中性とは、酸性とアルカリ性の中間の状態。
この中性をPH7として、酸性の度合いが強ければ強いほど0に近づき、逆に数値が多ければ多いほどアルカリ性が強くなります。
水耕栽培の場合のPHとは、培養液の状態が酸性とアルカリ性のどちらに傾いているかということ。
この培養液の状態は、植物の成長に大きな影響を与えます。
3-2各植物に好むPHがある
それでは、水耕栽培で植物を育てる場合には、酸性とアルカリ性のどちらがよいのでしょうか。
実は植物は、酸性を好むものとアルカリ性を好むものなど、植物によって好みがあります。これは植物が育つ環境に関係があります。
植物は動物のように自分の足で移動することができません。そのため、土地の土や水のPHに合わせてもっとも効率的に成長できるように進化、その結果、植物それぞれのPHの好みが生まれました。
もし土で栽培する場合には、酸性を好む植物、アルカリ性を好む植物に合わせて、石灰やマグネシウム、カリなどを土に加えて土のPHを調整する必要があります。
水耕栽培の場合にも、水のPHをチェックして、植物が好む状態に調整することが重要です。
3-3適正値でない場合の影響
それではPHが適正地でない場合には、どのような影響が生まれるのでしょうか。
まず、PHがアルカリ性に傾いた場合、植物が肥料の成分を吸収しにくくなります。その場合、植物が黄色っぽくなるという症状が現れることもあるため、変色が起きた場合には、培養液のPHバランスが変化している可能性があります。
また、PHが変化すると、それに対応できずに根が変色、抜け落ちることがあります。また目に見える変化がなくても根が傷んでいることがあるため、植物の成長が遅くなってしまいます。もしきちんと水分と肥料を与えてるのに成長が遅いという場合には、PHの変化が影響を与えているかもしれません。
PHの変化には、植物が排出する老廃物と、培養液の成分が関係していることもあるため、異常が出た場合には培養液をすべて取り換えてみるという方法もあります。
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この中性をPH7として、酸性の度合いが強ければ強いほど0に近づき、逆に数値が多ければ多いほどアルカリ性が強くなります。
水耕栽培の場合のPHとは、培養液の状態が酸性とアルカリ性のどちらに傾いているかということ。
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