これだけは身につけたい!食育についての基本的な知識

これだけは身につけたい!食育についての基本的な知識

「食育」という言葉は聞いたことがあるけど、具体的な意味や内容はよく分からない、あるいは「食べ物についての教育」というぼんやりとしたイメージしかない、そんな方も多いのではないでしょうか。今回は食育の目的やその方法など、食育についての基本的な知識についてご紹介します。

食育とは

「食育」という言葉は、なんとなく最近の言葉のように考える方も多いかもしれません。しかし、食育という言葉が最初に登場したのは明治時代。陸軍の医師で薬剤師でもあった石塚左玄という人物が、著作の中で最初に「食育」という言葉を使用しました。食生活の重要性を訴えるために「食育」という造語を使用したのが現在の食育の始まりと言われています。当時の食育は、どちらかと言うと栄養学に近いものでしたが、一般に食育という言葉が広がることはありませんでした。

それが社会に普及するようになったのは平成に入ってから。

当時、食品の産地偽装など、食の安全に関わる事件が発生、その対策として自民党が「食育調査会」を設置、「食育」という言葉が一般に知られるようになりました。

現在の食育は食事によって健康を維持、向上するだけではなく、「生きる上で基本である「食」を通じて、健全な食生活を送れるようにするための力を育むこと」とされています。

食育の背景

「食育基本法」の施行

「食育基本法」は平成17年に施行された法律です。この法律が誕生した背景には、バランスの偏った食事や、不規則な食習慣が原因となる生活習慣病の増加などの問題があります。また、伝統ある食文化の喪失や、食料自給率の低下による食の海外依存も叫ばれている中で、食の問題を社会全体の問題ととらえ、広い国民運動として推進していくため、食育基本法が作られました。

「食育基本法」の目的

食育基本法は、「国民が生涯にわたって健全な心身を培い、豊かな人間性を育む」ことを目的としています。食育基本法は、その目的を達成するため、地方公共団体および国民の食育推進のための総合的かつ計画的な取り組みを求めています。

「食育基本法」の中での食育とは

食育基本法の中で、食育は「生きる上での基本、知育徳育体育の基礎」と位置付けられています。「知育徳育体育」とは、知恵、道徳、体力のことで、つまり正しい心や知恵、身体を育てるためには、食事がもっとも重要であるという意味です。食育という言葉の生みの親である石塚左玄も同様の言葉を使用して食育の大切さを訴えています。

また、食育とは「食への知識と食を選択する力を習得、健全な食生活を実践できる人間を育てるもの」とされています。

なぜ食育が必要なのか

それでは、なぜこれほどまでに食育の必要性が高まっているのでしょうか。そこには様々な原因があります。

食を大切にする心の欠如

現代は飽食の時代と言われています。そのため、お金さえ払えば食べ物を手に入れることは非常に簡単です。さらに商品の低価格化が進み、必要以上に食べ物を購入して、食べきれないまま賞味期限が切れて廃棄してしまうことも珍しくありません。こういった「食を大切にする心の欠如」は食育が必要とされる大きな原因となっています。

栄養バランスの偏った食事や不規則な食事の増加

現代は飽食の時代ですが、同時に食のライフスタイルに大きな変化がもたらされた時代でもあります。ファストフード店やコンビニエンスストアが増加し、それらに食生活を頼ることで、栄養バランスの偏った食事を行いがちです。

さらに生活が夜型になり、朝ごはんを食べないといった不規則な食生活も増加しています。

肥満や生活習慣病の増加

ファストフードやコンビニ弁当など、偏った食生活や不規則な食事が続くと、どうしても増加するのが生活習慣病です。特に肥満は糖尿病や高血圧、動脈硬化などの原因となるため、早期の注意が必要です。食育は、食生活が原因となる病気に対しても有効な教育手段だと考えられます。

食の安全上の問題

食育が求められる背景には、食の安全の問題もあります。汚染物質や農薬など従来の問題だけではなく、遺伝子組み換え食品やBSEといった新しい問題も生まれています。そのため、国民ひとりひとりが食品の安全について興味を持ち、正しい配慮を行うことが必要になっています。

伝統ある食文化の喪失

海外からの食文化の流入により、伝統的な行事や、正しい作法と結びついた食文化は失われつつあります。さらに、地方の特色ある食文化や伝統的な文化などを継承・発展させるという意味合いでも、食育は非常に重要となっています。

食育で育てたい「食べる力」とは

食育では「食べる力」を育てることも目的としています。それでは「食べる力」とは具体的にはどのようなものなのでしょうか。

心と身体の健康を維持できる

心と身体の健康にとって、食事は非常に重要です。特に幼児期や、妊娠期などでの食生活はその後、一生に関わる大切なものです。それらを理解し、実践できることも食育の大きな役割です。

食事の重要性や楽しさを理解する

食事は身体に必要な栄養を補給するという目的とともに、人生の大きな楽しみとなるものです。コンビニやファストフードでカロリーを補給するだけではなく、食事自体の重要性と楽しみを理解することも「食べる力」に含まれています。

食べ物の選択や食事作りができる

どのようなものを食べるか、それをどのように作るかということは思春期の子どもたちにとって非常に重要な要素です。栄養管理について、適切な知識や技術を学ぶことも食育の大きな要素となります。

一緒に食べたい人がいる

食卓は家族にとって大切なコミュニケーションの場ですが、現代は核家族化やライフスタイルの多様性によって家族がともに食卓を囲む機会が減少しています。しかし、誰かと食卓を囲むことはコミュニケーションだけでなく、正しいお箸の持ち方やマナーといった、食事の作法を学ぶ場でもあります。食育では、人と食事をするということの大切さも学ぶ機会になります。

日本の食文化を理解し伝えることができる

海外からも注目される日本の食文化。しかし、伝統的な和食は徐々に姿を消しつつあります。日本の食文化は世界に誇るべきもの。これらを理解し、伝えていくことも非常に重要です。

食べ物や作る人への感謝の心をもつ

食育の大きな目的として、食べ物がどのようにできるのかという点に注目することが挙げられます。生産者や、食材を調理してくれる人に常に感謝の心を持つことは、「食べる力」を育てるための大きな要素となっています。

食育月間と食育の日

様々な食の変化や問題点に取り組むための食育。その食育をさらに推進するために、現在、食育のための食育月間と食育の日が設けられています。

毎年6月は食育月間

毎年6月は「食育月間」とされています。これは国や地方公共団体などが協力し、食育推進運動を行い、食育の国民への浸透を図るための月間で、広報やイベントなどを通じて、食育の周知と定着を図っています。食育月間には、毎年開催地を移しながら行われる「食育推進全国大会」などが行われています。

毎月19日は食育の日

さらに食育運動を推進させるため、毎月19日は食育の日と定められています。食育の日には、各地でイベントなどが開催されるほか、郷土の食材を使用した給食が提供されるなどの取り組みも行われています。

まとめ

単に食事に注意するだけでなく、様々な背景や目的がある食育。現在では様々なメディアでも注目されていることから、今後はより一層大きな運動として展開していくことが予想されています。

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