氏名や生年月日の中から数を導き、その法則性から運命を読み取る数秘術は古い歴史を持っている技術です。実は単に数秘術といっても、ルーツや方法など様々な種類があります。今回は数秘術の起源や種類についてご紹介します。
目次
数秘術の起源
数秘術は非常に古い歴史を持った占術ですが、そのルーツはどのようなものなのでしょうか。
数秘術の起源、創始者は数学者のピタゴラス
数秘術のルーツは古代ギリシアの時代にまでさまのぼることができると言われています。創始者と考えられているのが数学者であるピタゴラス。ピタゴラスといえば定理などで名前を聞いたことがある方も多いかもしれませんが、ピタゴラスは数学者であると同時に哲学者としても有名な存在。
というのも、古代ギリシアでは数と文字の間には対応関係があると言われ、数字には単に数を数える以上の深い意味があるとされていました。
そのような考え方を元にして「数字にはそれぞれ特別な意味を持っている」として人間の運命や才能、過去の因縁などを数字から導きだそうとして誕生したのが数秘術です。
世界でも最も古い分析学のひとつ
数秘術は英語では「Numerology(ヌメロロジー)」と呼ばれていますが、これはラテン語のnumero(数)+logy(学または論)の組み合わせによる造語と言われています。
つまり、数秘術は神秘的な超能力ではなく、数字を論理的に用いた学問ということ。
数秘術は数字を用いて人の人生を読み解く技術ですが、あくまでも論理的な思考が重要と考えられていました。そのため数秘術は、「世界でもっとも古い分析学」と呼ばれることもあります。
ピタゴラスの死後、「数字には意味がある」という数秘術の基本的な考え方は哲学者であるプラトンに引き継がれて発展、またその過程で様々な思想や宗教、占術などと融合して、世界中に広がっていきました。
現在でも数秘術は人気の占術のひとつで、ヨーロッパやアメリカでは現在でも大きな人気を集めています。
数秘術の種類
このように長い歴史を誇っている数秘術ですが、その発展の過程では様々な方法が生まれ、独自の進化を遂げてきました。
数術から占術としての独自性がうまれた
古代ギリシアでピタゴラスによって誕生した数秘術の基本的な考え方は現在でも変わりません。「数字にはそれぞれ独自の意味があり、それが人間の性格や運命をあらわしている」という数秘術のベースは、現在でも共通しています。
しかし、そもそも古代ギリシアで生まれたときの数秘術は数学のひとつ。現代でいうとデータ解析や統計学といった存在でした。
やがてその技術は占術のひとつとして発展していきますが、その過程で様々な文化を吸収、また広がった土地の宗教や思想などとひとつになり、独自性が生まれていきました。
カバラ数秘術
数秘術の中でももっとも有名なのが「カバラ数秘術」です。
カバラ数秘術はピタゴラスが生み出した数秘術がユダヤ文化の中で発展してきたものです。もともとユダヤの文化には数を用いて人間の運命を解き明かすという占術が存在しましたが、この占術にユダヤ教の神秘主義である「カバラ」が強く結びつき、「カバラ数秘術」が生まれました。
カバラ数秘術は生年月日を元に人の運命を読み解くもので、簡単な計算によって人間の性格や運命などを読み解くことができるのが特徴。また、ユダヤ教の考え方である創造論や終末論といった独自の世界観がキリスト教圏の人々の人気を集め、ヨーロッパやアメリカの数秘術の中心的な存在となっています。
ピタゴラス式
カバラ数秘術と同様に有名なのが「ピタゴラス式数秘術」と呼ばれるものです。
ピタゴラス式数秘術はピタゴラスが生み出した数秘術の論理的な思想を継承した技術で、神秘的な思想の代わりに厳密な数式が用いられます。
この厳密な数式によって数字を分析することから、ピタゴラス式数秘術は「数秘学」と呼ばれることもあります。
モダンヌメロロジー
数秘術が大きく進歩したのは二十世紀の初頭だと言われています。アメリカに渡った数秘術は、ミセス・バリエッタという女性によって広く世に紹介されたことをきっかけにアメリカでも広まりを持つようになりました。また、それ以降の数秘術は現代的な要素を取り入れるようになり、以前の数秘術と区別するため「モダンヌメロロジー」と呼ばれることもあります。
モダンヌメロロジーは当時アメリカで流行していた「ニューソート」という思想にも影響を受けています。ニューソートとは、簡単に言えば「考え方を変えれば現実も変わる」というもので、その後「ポジティブシンキング」などと名前を変えて現代にも受け継がれていますが、まず数秘術を最初に受け入れたのがこのニューソートを信奉する人たちでした。そのため、数秘術で伝えられるメッセージも、非常に前向きでポジティブなものばかり。この特徴は現代のモダンヌメロロジーでも受け継がれています。
特に有名なものはカバラとピタゴラス式
このように数秘術には様々な方式がありますが、なかでも有名なのがカバラとピタゴラス式の数秘術です。
ピタゴラス式の数秘術の中には、モダンヌメロロジーでも活用されているテクニックがあるなど共通項も多いため、最初に数秘術を学びたいというときにはカバラとピタゴラス式から入門するのがおすすめです。
カバラとピタゴラス式の違い
数秘術の中で二大巨頭ともいえるカバラとピタゴラス式ですが、実際にはどのような点が異なっているのでしょうか。
ぞろ目に対する扱い
数秘術では、それぞれの数字から意味を読み解いていく占術ですが、カバラとピタゴラス式との大きな違いがぞろ目に対する扱いです。
カバラ式の数秘術では、ぞろ目はマスターナンバーと呼ばれて、特別な意味を持っています。これはカバラ式の数秘術がユダヤ神秘主義の影響を受けているため、ぞろ目には特別な意味があるという立場によるものです。
しかし、ピタゴラス式の数秘術の場合、神秘主義の影響を受けていないため、ぞろ目の数字を特別視することはありません。ピタゴラス式の数秘術では、数字の9の次は10、またはゼロとなり、その後はまた1に戻ります。そのため、ピタゴラス式の数秘術は純粋に数字の組み合わせで占うということになります。
色の違い
カバラとピタゴラス式の数秘術では色に対する扱いも異なります。数秘術では、数字と文字が対応するように、数字と色も対応していますが、カバラとピタゴラス式では対応する色も異なっています。たとえば、カバラでは1は白を表しますが、ピタゴラス式では1は赤を示します。
まとめ
ひとくちに数秘術といっても、実は様々な種類があるもの。ただし、基本的な原理は変わらないため、ひとつの数秘術をしっかり身につけることは、他の種類の数秘術への理解を深めることにもつながります。