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デッサンとは?クロッキーやスケッチ、模写、ドローイングとの違いを詳しく解説!

デッサンとは、物体や人物の形状や陰影を描写するための基礎的な技法で、主に鉛筆や 木炭で行われます。
クロッキーやスケッチ、模写、ドローイングといった他の描画技法とは異なり、デッサンはより緻密で計画的なアプローチを重視します。
これにより、構造やバランスを理解し、絵画表現の土台を築くことができるでしょう。
それぞれの技法には独自の目的やスタイルがあり、アーティストの表現力を豊かにします。
デッサンというと、鉛筆で対象を描くというイメージです。では、クロッキーやスケッチ、模写とはどんな違いがあるのでしょうか。また、デッサンはドローイングとも呼ばれることもありますが、場所や状況によってこの二つも区別して使用されることがあります。今回はデッサンとクロッキー、スケッチ、模写、ドローイングなどの違いについてご紹介します。

デッサンとは?クロッキーやスケッチ
目次

01デッサンとは?その基本的な意味

デッサンとは?その基本的な意味は以下の通りです。 ・デッサンの定義 ・デッサンの目的と重要性 ・デッサンに使う画材と技術 こちらを順にご紹介します。

1-1デッサンの定義

デッサンとは、物体や風景、人物などを観察し、その形状や陰影を描写するための技法を指します。 特に、鉛筆や木炭などの道具を用いて、正確さやリアリズムを重視した描画が特徴です。 デッサンは、アートの基礎を築く重要な技法であり、観察力や空間認識能力を高める役割を果たします。 一般的には、静物やモデルを用いて行われ、詳細な形状やプロポーションを理解するための練習としても利用されます。 また、デッサンは、後の絵画や彫刻などの創作活動においても重要な基盤となるでしょう。 アーティストが表現したいテーマや感情を具体化するための第一歩として、多くのアーティストにとって欠かせない技術です。

1-1デッサンの目的と重要性

デッサンの目的は、観察力を高め、対象の構造やプロポーションを理解することにあります。 この技法を通じて、アーティストは形や空間、光の関係を深く学ぶことができるでしょう。 また、デッサンは創作活動の土台となり、絵画や彫刻などの表現において必要な技術を養います。 さらに、デッサンはアイデアを具体化する手段でもあり、アートのコンセプトを視覚的に表現する第一歩です。 アーティストにとって、デッサンは技術の向上だけでなく、自己表現の深化にも寄与し、その重要性は多岐にわたります。

1-1デッサンに使う画材と技術

使用される画材は多岐にわたります。 一般的には、鉛筆や 木炭が主流で、これらは細かいラインや柔らかな陰影を表現するのに適しています。 また、色鉛筆やパステルも使用されることがあり、色彩を加えることでより豊かな表現が可能になるでしょう。 技術面では、デッサンは正確なプロポーションや構造を捉えることが重要です。 さらに、観察力を高めるために、対象をじっくり観察し、形や光の変化を捉える訓練が不可欠です。 これらの画材と技術を組み合わせることで、デッサンはよりリアルで表現力豊かな作品へと昇華します。

01クロッキーの基本と特徴

クロッキーの基本と特徴は以下の通りです。 ・クロッキーとは何か ・クロッキーの練習方法 ・デッサンとの違いと共通点 こちらを順にご紹介します。

1-1クロッキーとは何か

クロッキーとは、短時間で対象を素早く描写する技法で、主に人物や動物のポーズを捉えるために用いられます。 通常、1分から10分ほどの制限時間内で行われ、瞬時に動きや形を把握することが求められます。 この技法は、観察力や反応速度を鍛えるために非常に効果的です。 クロッキーの特徴は、その迅速さと自由な表現にあります。 細部にこだわるのではなく、全体のバランスや動きのエネルギーを重視するため、緊張感のある作品が生まれます。 この過程で、アーティストは形やプロポーションの理解を深め、次のステップであるデッサンや絵画に活かすことができるでしょう。 クロッキーは、アートの基礎技術として広く利用されており、様々なスタイルや表現を探求する際の重要な手段となります。

1-1クロッキーの練習方法

クロッキーの練習方法は、観察力と描写力を高めるために効果的な手法です。 まず、モデルを選び、準備を整えます。人物や動物、静物など、動きのある対象が理想です。 次に、タイマーを設定し、1分から5分の短時間でポーズを描くことから始めます。 この時間制限が、素早く形を捉える訓練になるでしょう。 練習中は、細部にこだわらず、全体のバランスや線の流れを意識します。 軽い線や大胆なストロークを使い、エネルギーを感じさせる描写を心がけましょう。 また、異なるポーズやアングルを取り入れることで、さまざまな視点からの観察力を養います。 定期的に練習を重ねることで、描写が次第にスムーズになり、表現力も向上します。 クロッキーは、自由な発想を促し、アートの基礎を固めるための大切なステップです。

1-1デッサンとの違いと共通点

クロッキーとデッサンは、どちらも描写技法ですが、目的やアプローチにおいて明確な違いがあります。 クロッキーは、短時間で対象の動きや姿勢を素早く捉えることに重点を置き、観察力を鍛えるための練習です。 通常、1分から10分の制限時間内で行われ、全体のバランスやエネルギー感を重視します。 一方、デッサンは、より詳細で計画的な描写を行い、形状や陰影を正確に表現します。 デッサンでは、時間をかけて緻密に描くことで、対象の構造やプロポーションを深く理解することが目的です。 共通点としては、どちらも観察を基にした技法であり、描写力や技術を向上させるために重要です。 また、どちらの技法もアート制作の基盤を築く役割を果たし、創作活動において相互に補完し合う関係にあります。

01スケッチとデッサンの違い

スケッチとデッサンの違いは以下の通りです。 ・スケッチの目的 ・デッサンとスケッチの技術的な違い ・初心者におすすめの練習法 こちらを順にご紹介します。

1-1スケッチの目的

スケッチは、主にアイデアや構図を迅速に記録するための描画方法です。 目的は、アート制作の初期段階で思いついたアイデアを視覚化し、後の作品に向けた基盤を作ることにあります。 スケッチは、自由な表現が特徴で、細部にこだわることなく全体のバランスや形を素早く捉えることが重視されるでしょう。 デッサンとの違いは、描写の精度や時間のかけ方にあります。 デッサンは、より緻密で計画的な描写が求められ、時間をかけて詳細を表現します。 一方、スケッチは、短時間で描かれるため、思いついたアイデアや感情を自由に表現することが可能です。 スケッチは、アーティストにとって実験的な要素を持ち、さまざまなスタイルや技法を試す場でもあります。 このように、スケッチは創作プロセスの重要な一部として、アートの発展に寄与します。

1-1デッサンとスケッチの技術的な違い

デッサンとスケッチには、技術的なアプローチにおいて明確な違いがあります。 デッサンは、対象を観察し、形状や陰影を正確に描写することを目的とし、通常は鉛筆や 木炭などを使用して、緻密なラインと細かなディテールを重視します。 時間をかけて丁寧に描かれるため、プロポーションや空間の理解が深まるでしょう。 一方、スケッチは、アイデアや構図を迅速に記録するための技法です。 スピードを重視し、短時間で描かれることが多く、全体のバランスや形を捉えることに重点が置かれます。 スケッチでは、細部を省略したり、ラフな線を用いたりすることで、自由な表現が可能です。 このように、デッサンは正確さと深さを追求するのに対し、スケッチは瞬間的なアイデアや感情を捉えることに特化しています。 両者は、アート制作の中で異なる役割を持ち、それぞれの技術がアーティストの表現力を豊かにします。

1-1初心者におすすめの練習法

スケッチとデッサンの違いを理解した上で、初心者におすすめの練習法を紹介します。 まず、スケッチの練習には、日常の風景や身近な物を題材にし、短時間で描くことから始めましょう。 1分から5分の制限を設け、形やバランスを意識しながら素早く線を引くことで、自由な発想を養います。 次に、デッサンの練習には、静物や人物をじっくり観察し、時間をかけて描くことが重要です。 初めは1時間程度のデッサンを行い、形状や陰影に注意を払いながら、細部を丁寧に表現します。 光源を意識して、影やハイライトを加えることで、立体感を出す練習も効果的です。 このように、スケッチとデッサンを交互に行うことで、観察力や描写力が向上し、アート制作の基礎をしっかりと築くことができます。

01模写の役割と効果

模写の役割と効果は以下の通りです。 ・模写とは?その意義 ・模写とデッサンの違い ・模写に使う道具 こちらを順に順にご紹介します。

1-1模写とは?その意義

模写とは、既存の作品を忠実に再現する描画技法で、アーティストが他の作品から学ぶための重要な手段です。 模写の意義は、技術や表現方法を理解し、自己のスタイルを確立するための基盤を築くことにあります。 特に、名画や優れた作品を模写することで、色彩、構図、筆使いなど、さまざまな技術を体感できるため、学びが深まります。 また、模写は観察力を高める助けにもなるでしょう。 細部にわたる正確な再現を目指すことで、対象をじっくり観察する力が養われます。 さらに、模写を通じてアートの歴史や文化を学ぶこともでき、視野が広がります。 このように、模写は単なるコピーではなく、アーティストとしての成長を促すための重要な過程です。 技術を磨きながら、自分の表現力を豊かにするためのステップとして、多くのアーティストに採用されています。

1-1模写とデッサンの違い

模写とデッサンは、どちらも描写技法ですが、その目的やアプローチには明確な違いがあります。 模写は、既存の作品を忠実に再現することを目的としており、アーティストが他の作品から学ぶ手段です。 技術やスタイルを理解し、細部まで観察する力を高めます。 一方、デッサンは、物体や人物の形状や陰影を正確に描写するための技法で、観察力を養うことが目的です。 デッサンは通常、独自の視点や解釈を持ちながら行われ、個々のアーティストの表現が反映されます。 模写は模範を追いながら技術を磨く過程であり、デッサンは自分自身のスタイルや感情を表現するための手段です。 つまり、模写は学びのプロセス、デッサンは創造的な表現のプロセスといえます。 両者を組み合わせることで、アーティストは技術を高めながら、独自の表現力を育むことができます。

1-1模写に使う道具

模写に使う道具は、再現の精度を高めるために重要です。 基本的な道具としては、まず鉛筆が挙げられます。 特に、HBや2Bなどの柔らかい鉛筆は、陰影をつける際に便利です。 次に、紙の選定も大切です。 模写には、滑らかな質感の画用紙やスケッチブックが適しています。 特に、キャンソンやストラスモアなどの高品質な紙は、鉛筆の描写を良好に保てるでしょう。 また、消しゴムも重要な道具です。 細部を修正するために、一般的な消しゴムの他に、練り消しゴムを使うと、より繊細な修正が可能です。 さらに、定規やコンパスを使うことで、正確な形状を描く手助けになります。 これらの道具を使いこなすことで、模写の精度が向上し、他のアーティストからの学びを深めることができます。

01ドローイングとは?基本を理解する

ドローイングとは?基本を理解するは以下の通りです。 ・ドローイングの定義 ・ドローイングのメリットとデメリット ・デッサンとの比較 こちらを順にご紹介します。

1-1ドローイングの定義

ドローイングとは、鉛筆、ペン、マーカー、またはその他の描画ツールを使用して、平面上に線や形を描く技法を指します。 基本的には、視覚的なアイデアや感情を表現するための手段であり、絵画や彫刻などの他のアート形式の基盤となるでしょう。 ドローイングの定義には、自由な発想から技術的な描写まで幅広いスタイルが含まれます。 具体的には、スケッチ、デッサン、イラストレーションなどがドローイングの一部として考えられ、これによりアーティストは様々な目的に応じた表現を行うことができるでしょう。 ドローイングは、構図やデザインの初期段階としても重要で、アート制作のプロセスにおいてアイデアを視覚化する役割を果たします。 さらに、観察力や技術を向上させるための練習としても利用されるため、アートの学びにおいて欠かせない要素です。

1-1ドローイングのメリットとデメリット

ドローイングは、視覚的なアイデアを表現するための非常に柔軟な技法ですが、メリットとデメリットがあります。 メリット ・表現の自由 ドローイングは、さまざまなスタイルや技法を取り入れることができ、アーティストの個性を強く反映します。 ・技術向上 線や形の描写を繰り返すことで、観察力や描写技術が向上します。 ・初期段階のアイデア出し 絵画や彫刻の前段階でアイデアを視覚化し、構図を考えるのに役立ちます。 ・手軽さ 特別な設備がなくても、紙とペンがあればすぐに始められるため、気軽に取り組むことができます。 デメリット ・表現の限界 複雑なイメージや色彩を表現する際には、他の技法に比べて制約があることがあります。 ・評価が難しい ドローイングはしばしばサブ的な要素と見なされることがあり、作品の価値が低く評価されることがあります。 このように、ドローイングは多くの利点を持ちながらも、いくつかの課題も抱えています。

1-1デッサンとの比較

ドローイングとデッサンは、どちらも描画技法ですが、その目的やアプローチには明確な違いがあります。 ドローイングは、視覚的なアイデアや感情を表現する手段です。 スケッチやイラスト、アート作品など、多様なスタイルを含みます。 自由な発想が重視され、技法やツールの選択も幅広いため、アーティストの個性や創造性を強く反映します。 また、短時間で行えることが多く、アイデア出しやプロセスの一部として利用されることが一般的です。 一方、デッサンは、物体や人物を正確に描写することを目的とし、形状や陰影の理解を深めるための技術的な練習です。 通常、時間をかけて細部にわたる描写が行われ、観察力を高めることが求められるでしょう。 デッサンは、アートの基盤を築く重要なプロセスであり、後の作品制作において必要な技術を養います。 このように、ドローイングは自由な表現を重視し、デッサンは技術的な精度を追求するという、異なる役割を持っています。

01デッサン・素描・ドローイングとは?

日本における「デッサン」はフランス語で「デザイン」を意味する「デッサン(dessin)」を語源とした言葉です。さらにデッサンは、日本語では「素描」 、英語では「ドローイング (drawing)」と呼ばれます。日本の場合、「デッサン」「素描」「ドローイング」はほぼ同じ意味だと考えてよいでしょう。
ところが、「デッサン」と「ドローイング」は別の意味を持った言葉として扱われることがあります。

1-1日本におけるデッサンとドローイングの解釈の違い

同じ意味としても、別の意味としても使われる「デッサン」と「ドローイング」ではこの二つにはどのような共通点と違いがあるのでしょうか。

1-2デッサン

まず押さえておきたいのは、一般的な意味としては「デッサン」も「ドローイング」もほとんど同じように使われるということ。
ただし、専門的な美術教育や制作現場などでは、「デッサン」と「ドローイング」は分けて使われることがあります。
では、この二つはそれぞれどのような意味なのでしょうか。
「デッサン」は日本では非常によく使われる言葉です。「デッサン」とは、一言で言えば彩色前の下絵として輪郭や質感、立体感などを捉える目的で時間をかけて正確に描かれるものを指しています。
「デッサン」には様々な種類があり、人物をモデルにして再現する「人物デッサン」や石膏で出来た像などを描写する「石膏デッサン」などが一般的。
使用される筆記具は鉛筆や木炭、コンテなどで白い紙に描くことが多いもの。また、写実的で再現的な描写、古典的な手法などどちらかといえばアカデミックな分野で用いられます。
つまり、対象となる形を正確に写し取ったり、明暗や遠近を利用して立体的に描いたりということ。特に美大や芸大を目的とした美術教室などで重視され、絵画の基本となっています。
つまり、「デッサン」は現実を正確に再現することを目的にしていると考えればよいでしょう。
そのため、「デッサン」を行うためにはある程度の時間が必要になります。しっかり時間をかけて対象を観察、それを段階的に表現していくことも「デッサン」の特徴です。

1-3ドローイング

一方、日本で特別に「ドローイング」というときには、現実をそのまま描写するというだけでなく、書き手の内面的な要素も重要になります。また、即興性が強く、個性が現れるのも「ドローイング」の特徴。極端に言えば、子どもがクレヨンやチョークなどで画用紙などに描いたものも「ドローイング」ということになります。
といっても、好きなようにイメージを描いたものというわけではなく、あくまでも対象の存在があるのが「デッサン」と「ドローイング」の共通点。
どれだけ好きなようにも描いたとしても、「ドローイング」では対象の存在が重要になります。
そのため、「ドローイング」は現実を正確に写し取ることを目的にした「デッサン」とは異なり、精神性や身体性なども重視されます。書き手がどのような意識と手法で描いたのかが「ドローイング」では重要です。
また、「デッサン」が時間をかけて対象を少しずつ描写していくことに対して、「ドローイング」の場合には瞬間的な判断で筆記具を動かし、短時間で完成させるということが多くなります。
この違いはあくまでも専門的な現場で行われるもので、一般的には「デッサン」と「ドローイング」とはほとんど同じ意味に使われます。
また、「スケッチ」や「クロッキー」を「ドローイング」とは別のものとみなす人もいれば、同じものと考える人もいます。この三種類は人によって解釈が異なるものと言うことができるでしょう。
ただし、描写の過程で行われる「塗り」の要素が強いものや、「塗り」が重要な役割を果たしている物に関しては、特に区別して「ペインティング(painting)」と呼ばれることがあります。

02デッサンとクロッキー、スケッチの違い

日本の場合、「デッサン」と同じようなものとして「クロッキー」や「スケッチ」があります。こちらも「ドローイング」と同じように、ほぼ同じ意味に使われることもありますが、厳密にはこの「デッサン」「クロッキー」「スケッチ」はそれぞれ異なるものとして扱われます。

2-1スケッチ

「スケッチ」の語源は英語の「sketch」。意味は「絵」や「スケッチ」で、対象を大まかに描くということを指しています。
日本語では「写生」と訳されますが、大まかに対象の輪郭や特徴を描くという意味では、「素描」に近いかもしれません。
「スケッチ」はもともとそれほど時間をかけるものではありませんが、さらに短時間で、完結に描いたものは「ラフスケッチ」と呼ばれることもあります。
また、「スケッチ」に水彩や油彩の絵の具を乗せて作品として仕上げたり、スケッチを元に別の作品を作ることも。
スケッチは鉛筆で描かれることがほとんどですが、厳密に道具の決まりはありません。
そのため、モノトーンだけでなく、色鉛筆やクレヨンなどが用いられることも。また、水彩絵の具で描いたスケッチは「水彩スケッチ」などと呼ばれます。
「スケッチ」というと、多くの場合このような絵を指していますが、文章や演劇などの世界でも、短く簡潔にまとめられたものは「スケッチ」と呼ばれることもあります。
「スケッチ」は美術教育の基礎として用いられることも多く、対象の持っている形や特徴、質感などを全体的にとらえる訓練のひとつともされています。日本でも学校の美術の時間に「写生」が行われることがありますが、それが日本の「スケッチ」イコール「写生」としてとらえられるようになったとも考えられます。
さらに「スケッチ」は本格的な作品に入る前の下書き的な用いられ方をすることもあります。水彩や油彩の場合、一度初めてしまうとなかなか訂正が難しいこともあり、その前に何度かスケッチを行うことで、全体のバランスや構図を決める役割を果たします。

2-2クロッキー

「クロッキー」の語源はフランス語の「croquis」。日本語では「速写」と翻訳されますが、英語では「スケッチ」と同じ「sketch」になり、これが「クロッキー」と「スケッチ」の違いを分かりにくくしています。
日常的な言葉としてはほぼ同じ意味だと考えれば構いませんが、専門的な分野で特に区別して「クロッキー」という場合には、人物や動物などの動きがあるものを簡潔に線だけで描くことだと考えればよいでしょう。
大まかな特徴をとらえて描くという意味では「スケッチ」と同じですが、「クロッキー」の場合にはさらに時間が短く、長くても十分程度の時間で仕上げることが一般的です。
そのため、風景を描写するというよりも、対象の動きなどに焦点を合わせたり、目立つ質感や光沢などに注目したりといった特徴があります。
このように、「クロッキー」は動いているものや変化しているものを描くことが中心。そのため、短期間で対象をとらえる訓練として、デッサン力を鍛えるための練習として用いられることも。それ以外にも、本格的なデッサンを始める前の腕慣らしとして描かれることもあります。
また、「クロッキー」と相性のよい表現方法がマンガ。マンガは静止しているものを描くというより、動いているものを描いたり、描いたものに躍動感を感じさせることが中心。もちろん、マンガを描くためにもデッサンが大切ですが、デッサンだけでなくクロッキーもマンガの練習として推奨されることがあります。

03デッサンと模写の違い

美術や絵画のトレーニングとして「デッサン」だけでなく「模写」を進められることがあります。では「デッサン」と「模写」は、どのような違いがあるのでしょうか。

3-1模写とは

模写とは、一言で言えば他人の作品を忠実に再現して描くことです。他人の作品を写し取ることは、作者の意図や作品の制作過程を自分で体感することにより、より深い理解につながるもの。
他人の作品を写し取るというと、それほど難しくないと考えがちですが、実際に模写を行ってみると分かるように、細かい部分まで性格に再現を行うためには、非常に高い技術や知識、経験が必要になります。
模写は日本画の世界において、古くから修行のひとつとして用いられ、技術面での習得だけでなく、元々の作品が持っている様式や精神性を学ぶ効果もあると言われています。
模写は「模作」とも呼ばれていますが、価値のある作品をそのまま写し取ることは「転写」と呼ばれ、二つは厳密に区別されています。
古典作品の模写を「古典模写」と呼ばれ、技術の向上以外にも、文化財保存の目的として行われることもあります。
模写を行うときには、対象をそのまま写し取ることに注意が向きがちですが、実際にはそれ以外にも様々なポイントを押さえることが必要です。
まず模写に必要なのは、全体のバランスや構図、構造などを理解すること。どのような作品でも、なぜこのような形で描かれているのか、なぜこのバランスになっているのかなど、それぞれの部分には理由があります。
まず手を動かし始める前に、その作品の全体像を理解する必要があります。
さらに、模写を行うときには対象になるものをしっかり観察すること。
一部分だけに注目して模写を行うと、細かい技術を習得することはできるかもしれませんが、重要な本質を知ることができません。部分と部分の間の空間や、立体の表現、遠近感などにも注目することが正しい模写を行うためには重要になります。
それに加えて、模写で重要なのが対象の筆遣いなどを理解すること。模写の目的は上手に絵を写し取ることではありません。模写で重要なのは、なぜこのような配置になっているのか、なぜこのような筆遣いが行われたのかを自分で考えながら描くこと。
模写を始めたばかりの頃には、ついつい上手に絵を写すことが目的になりがちですが、そもそも模写を行うのは自分の技術や知識、考え方を向上させるため。
どうすれば自分の絵の向上に役立つのか考えながら行うことが重要です。
もしどうしても上手く模写ができないという場合、自分のレベルとかけ離れた作品を選んでいる可能性も。
模写もデッサンと同じである程度の経験が必要です。まずは出来るだけシンプルなものから始めて、模写のコツをつかむようにしましょう。
また、模写を行うときには書き方の基本を学んでおくこと。目についたところから模写を始めるのではなく、書き手と同じような手順で模写を行うことが成功への近道です。

3-2模写の種類

模写は対象となる絵を写すことですが、実際には模写にはいくつかの種類があります。
模写で一般的なのは、実際の作品を自分の目で見ながらそれを写すこと。作品を間近で見ると、筆の運びや特徴、全体の配置といった細かい点を知ることができるため、より対象をくわしく知ることができます。
ただし、貴重な作品や海外の作品などは簡単に自分の目で見ることはできません。もし見ることができたとしても、模写を行うことが禁止されているといったケースも。
そういう場合には、写真を元に「写真模写」が行われることがあります。写真模写は、どのような作品でも対象に出来るという点が大きなメリット。歴史的に大きな価値がある作品などの模写を行うことで、さらに自分自身の知識と技術の向上に役立ちます。
ただし、写真では細かい部分や正確さに欠けるというデメリットも。
また、既存の作品だけでなく、人物などの写真を参考にしてデッサンやクロッキー、スケッチなどを行うことも写真模写と呼ばれることがあります。
さらに模写の中には自分の作品を模写するレプリカという方法もあります。
自分の作品を模写することにはあまり意味がないように思うかもしれませんが、実際には自分が描いたものを客観的に見るのはなかなか難しいもの。改めて自分の作品の模写を行うと、自分の欠点や長所などを改めて見つめなおすきっかけになります。

01まとめ

デッサンは、物体や人物の形状、陰影、構造を正確に描写する技法で、特に鉛筆や木炭を使います。 クロッキーは短時間で描く速写で、動きやポーズを捉えることに重点を置きます。 スケッチはアイデアのメモや構図の練習として行われ、自由な表現が特徴です。 模写は既存の作品を忠実に再現することで、技術を学ぶ手法です。 一方、ドローイングはより広義な概念で、さまざまな材料やスタイルを用いて表現できるため、デッサンを含む多様な描画技法を指します。 これらの違いを理解することで、アートの表現力が一層深まります。
通信講座の諒設計アーキテクトラーニング編集部
280講座以上の資格取得できる通信講座を運営する諒設計アーキテクトラーニング編集部が運営するコラムです。心理カウンセラー、ドッグトレーナー、リンパケアセラピストなど、実践的で需要の高い資格を提供しており、学習者は自分のペースで学べる柔軟なカリキュラムを受けることができます。専門知識を短期間で習得できるよう設計されており、仕事や趣味に役立つスキルを身につけることが可能です。
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